探偵日記 9月19日土曜日 晴れ
久しぶりの晴れ間のように思える。何時ものように散歩を終えたあと、新座市にある打ちっ放しで練習する。勿論、明日のコンペ(サンサン会)のためである。9時半帰宅。すぐにシャワーして10時半事務所へ。11時に新しい依頼人が來所する予定。まだ沖縄班から報告がない。気を揉む。
れんげ 52
そうこうしているうち、れんげのほうから子犬に近づき、子犬の鼻に自分の顔をすり寄せる仕草をした。子犬の方はよほど嬉しいのか、れんげの体に擦り寄って、れんげの腹の下に顔を入れた。まるで、赤ん坊が母親の乳を欲しがるように。茅ヶ崎の預かりさんが、「良かったねチビ、お母さんに会えて、さあ帰りましょう」と言いながら、ひかると、山本夫人に軽く会釈を送ってその場を立ち去った。ひかるは、何であの人突然立ち去ったのかしら。と、訝しく思ったが、後日、茅ヶ崎の預かりさんのブログに、あの時あのままもう少し居つづけたら私が壊れそうだった。書いてあった。すでにしっかりと里親が決まって、幸せに暮らすれんげと、まだ傷は癒えたものの心のどこかに深い喪失感の残っているだろうチビとの環境の違い。幸せの落差を思うと居たたまれなかったのだと。彼女の心情の辛さが滲んでいた。ーーーーー