探偵日記 9月29日火曜日 晴れ
昨夜も比較的良く寝れた。したがって、目覚めは快適。というほどでもないが、少なくとも気だるい感じはない。しかし、体に活力が漲る意識はなかった。(ただ、何となく元気が出ない)のである。疲労が溜まりに溜まってこうなのか。或いは、もうそんな年令で、何をしてもダメなのか。そこのところが良く判らない。日々何かしら目的が有ったなら、その目的に向って行動できるのかもしれないが、当面、僕的には目的というか(希望)言い換えれば夢がない。
一昨日朝、見張り番がタイちゃんの散歩中、3匹の猫に襲われかなりの怪我をした。そして昨日、娘が緊急入院。誰かが言った。「二度有ることは三度有るって言うから、今度は貴方じゃあない」もし有るとすればなんだろう。くわばらくわばら。用心しよっ~と。
れんげ 56
野口家は比較的大きな農家で、田畑もかなりの規模で所有。小作人ともいうべき人たちも大勢いた。それでも自ら働いていなければ気のすまない、野口夫婦は、典型的な日本のお百姓で、二人とも毎日畑に出ていた。
数日、夫婦の様子を観察した結果、日々の行動が判ってきた。楓が何気ない風を装って、畑の周りを散策するのは夫を送り出してからだったが、正午、町内にその時刻を知らせるサイレンが鳴り響くと、待っていたように夫婦は野良仕事の手を休め、畦道に上がって弁当を開く。一日たりとも変わらない夫婦の決め事だった。それまで、家から持ってきた弁当やポットに入れたお茶は、簡単な手提げ袋に入れて、草の上に無造作に置かれてあった。ポットはどこにでもあるような何の変哲も無いが、ただ、最近買い換えたのか比較的新しいものだった。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー