探偵日記

探偵日記 11月10日火曜日 雨

今日も雨。朝食を終えて早々に事務所へ。明日はゴルフだから出来るだけやっておきたい案件がある。今年もあと50日。といっても、12月は20日過ぎると慌しさに負けて、なんとなく晦日を迎える感じだから。今のうちに頑張っておかないと佳い年は迎えられない。
昨日は4時ごろ阿佐ヶ谷に帰って、ご飯も食べずに6時過ぎからベッドに入り、気がついたら翌朝(今日の)朝5時だった。お酒も飲まず、とうとうご飯も食べなかった。とにかく、食が進み太ってきたので、まあ1食ぐらい抜いてもいいだろう。そのかわり、今朝の朝ごはんはたまらなく美味しかった。

おもろい探偵たち その一私立探偵A 1

昭和45年春、千代田区内神田に1軒の探偵社が誕生した。所長はAという男。昨年まで、とある有名な探偵事務所に勤務していたが、もともと才覚のある人物だったし、向上心も旺盛だった。この頃は誰でもそうだったが、独立に当たってさほどの費用はかからなかった。極端に言えば(事務所があって電話が1本あればOK)だから、自分の家や借りているアパートでも簡単に独立できた。しかし、Aは一応経済の町「神田」に小さいながら事務所を借りてスタートしたのである。身長165センチぐらい。やや小太りで、少々色黒。癖のある髪をオールバックにしたなかなかハンサムだった。しかし、事務所を開いたからとてお客様が来る保証はない。前の勤務先もそうだったが、歴史がある分何となく固定客みたいなものもあった。ただ、基本的には口コミで、宣伝といえば、(職業別電話帳)いわゆる現代のタウンページに頼らざるを得なかった。勿論、Aもそのようにしてひたすら一見の依頼人を待った。電話のベルがなるのを待ちながら一人しかいない女子事務員とおしゃべりしながら時間を潰し、夜10時くらいにやっと諦めて家路に着く。--------------------