探偵日記 11月02日水曜日 曇りのち晴れ
今日は12月上旬の陽気だというが、朝5時半に外に出た時はさほど寒いとは思わなかった。水曜日、事務の高ちゃんがお休みなので10時に事務所に到着。14時に報告が1件あり、パソコンに向かう。明日は久しぶりのゴルフ。歯科医の友人らと八王子の相武CCへ。
ロマンチックな恋の結末 4
「これが父の写真です」娘が自分のバッグから3枚の写真を取り出しテーブルに置く。(お預かりします。勿論調査が終わったらお返ししますからね)と言うと、母親が「そんなもの返して頂かなくても結構です。棄ててください。」眉間にしわを寄せて吐き出すように言う。僕は、それには応えず写真をながめた。もうほとんど頭髪は無く、眼鏡をかけた丸顔で好人物そうな初老の男が写っていた。目の前に座る、小股の切れ上がったちょっと粋な感じのする女性の夫としては些か不釣り合いな印象を抱いた。確かに地位も名誉もお持ちだろうが、こんな男を好く女性が居るのだろうか。僕は自分の容姿を棚に上げそう思った。依頼人の妻は、この夫との結婚が気に染まず、長い間悔やんできたのではなかろうか。そして、そんな夫婦生活に諦めと安堵を覚え始めた今になって裏切られた。自分の我慢は何だったのだろうか。(蓼食う虫もすき好き)とはいうが、(こんな不細工な夫を愛す女性が居るんだろうか。)僕の感想とは別に依頼人もそう考えているのではないだろうか。余談だが、僕の妻は、繰り返す僕の浮気について、(貴方は、貴方の家の血統のせいだから仕方ないわね)と言って放り出しているけど。(笑)果たしてこの依頼人がそんな心境になれるだろうか。-----------