探偵日記

探偵日記 12月07日水曜日 晴れ

僕の中では、少し雲があっても雨さえ降らなければ晴れ。昨夜は東京調査業協同組合の定例理事会のあと、忘年会を催した。天ぷらやで食事した後、クラブへ。みんなと別れた後ちょっと寄り道して12時に帰宅。それでも飲んだ量が少なかったのかなかなか寝付かれず何度もトイレに行った。
10時半事務所へ。せっせと年賀状書きをするもまだ150枚しか書けてない。宛名も印刷にすればよかった。と反省するが後の祭り。

ロマンチックな恋の結末 21

そうして、今回の調査で証拠は揃った。映像のほかに音声も取れてほぼ100パーセントの出来だ。女性の身元調べも終わって報告書が完成した。依頼人に連絡して報告日を決める。すぐに聞きたいという母娘の希望で、その日の夕刻、自由が丘駅の近くにあるという喫茶店で落ち合った。報告書は今後の訴訟用に2部作成。二人は食い入るように読んでいる。母親の様子を窺うと、女性の近影を憎悪の眼差しで長いこと見つめ、僕に向き直った時は夜叉のような顔になっていた。「どうしましょう。勿論離婚ありきですが素っ裸で叩き出してやりたい」と言えば、娘も負けじと「お母さん。お父さんの保険や年金はどうなっているの。貯金だってかなり有るはずよ」と捲し立てる。

僕はそんな母娘を宥めるように(確かにご主人は有責配偶者として相応の責めは負わなければなりませんが、夫の浮気が原因の離婚でも、その点の慰謝料何て僅かです。例えば、俳優の松方弘樹が妻に数億円支払ったという記事がありましたけど、あれは財産分与で、基本的には夫婦で折半が原則です。)と説明した。しかし二人は承知せず(裸で出てもらう)と言い張る。僕はそんな二人に(まあ、僕も専門家ではありませんので弁護士の意見を聞いてみてください。どなたかご存知の弁護士はいらっしゃいますか。)と聞くと、「居ません」とのこと。(じゃあ事務所の顧問弁護士を紹介しますから一度会ってみてください。)と言い、その場から弁護士に連絡し、面談の予約をして母娘と別れた。----------