探偵日記 12月08日木曜日 晴れ
昨日も少し飲みすぎた。といっても元来酒に弱い体質なので、量的には大したことは無いのだが、ビール、ウイスキー、焼酎、という風にちゃんぽんしたからか。それでも、10時前に事務所に来た。今日は依頼人の女性を事務所の顧問弁護士の所に連れてゆく予定があり、持参する報告書を整理する必要もある。年賀状も少しは書きたい。12月(師走)は何かと気忙しい。
ロマンチックな恋の結末 22
当時、小社には2人の顧問弁護士が居た。依頼人の希望で訪問しやすいH弁護士に決め母娘と同行した。相手女性に慰謝料を請求しても支払う能力は無いだろう。ただ、このような場合、陰でマルヒが負担するものだから究極のところ、依頼人の取り分が減ることになる。(それでも請求したい)というのが依頼人の心情だったから、家裁への離婚の申し立てと並行して行うことになった。最初から、(丸裸で追い出してやる)前提なので、弁護士もう~ん。と、当惑せざるをえない。全く無茶苦茶な言いようで一般常識から大きくはずれている。そこで一計を案じ、次に教授が天体観測に出かけるタイミングを計って、秋田のホテルに絶縁状が着くようにしよう。ということになった。
教授が家を出るや否やすべての鍵を交換する。教授の私物は有明のトランクルームに預ける。塀を乗り越えて侵入できないように鉄線を張り巡らす。などの指示があり、総てを探偵の僕が請け負うことになった。勿論作業は調査員や専門の業者に発注することとして、諸々の費用として可なりの額を依頼人が負担する。
某日、そんな企てを妻や可愛い娘が立てていることを露にも知らず、教授は嬉々とした顔で自宅を出て新幹線に乗った。------