探偵日記

12月29日 日曜日 晴

昨日から今日にかけてついてなかった。マージャンも負けるし何もかも思ったように進まない。毎週土曜日に行くカラオケスナックに行ったが雰囲気が超悪くて早々に出る。
今日も、阿佐ヶ谷の名店「松の寿司」に予約を入れて行ったが通じてなくて超満員。おまけに同伴者が「体の調子が悪く帰りたい」と言う。(それならそれと早く言ってよ)と言いたいが、(後の祭り)すごすごと帰る。仕方なく、それでもおなかは空いているから馴染みの居酒屋に行ったがここも超満員「お料理出すのに時間がかかりますが」と言われ、了解。と言ってカウンターにしがみつく。結局、おつくりと酢の物を頼んでビール1本、燗酒2号飲んで退散。帰る途中セブンイレブンに寄って、おにぎり2個、アンパン2個、お茶を買って帰宅。つくづく、俺の人生はついていないのか。と思うが75歳までつつがなく生きてくれたのだから、案外運のいいほうかもしれない。とも思う。今年もあと2日、ケ・セラ・セラで行こう。

ゆうこ 10

郷里に帰ったゆうこは地元で街道沿いにある食堂に勤務していた。毎朝、母親の車で送られ、帰りも迎えに来てもらっている。いわゆる、監視下におかれているようだった。こうした状況を写真を添えて報告する。しかし、依頼人は「何とかならないか」と言う。探偵に出来ることは限られている。まさか(誘拐)なんて出来ない。昔、依頼人に頼まれある有名な美容師のお嬢さんのお嬢さんを尾行、その報告書をもとに依頼人がお嬢さんを誘拐した事件があった。とばっちりを受けた形でその探偵社も警察にこってり絞られたらしい。勿論僕はそんなことはしないがにべもなく断るほど勇気もない。悶々としてるうち、依頼人の使者がその過疎の村までやってきた。使者は高齢だが美人の婦人。何をどのように口説いたか分からないが、ゆうこは再び家出して上京。この段階で僕の仕事は一旦終了したが、数か月後、依頼人から連絡があり、「今、モナコに居る。ゆうこも喜んでるから本当にありがとう。ご苦労さん。請求書を会社に送っておいて」と言う。大昔、「痴人の愛」や、「恍惚の人」という本を読んだことを思い出した。老年になって、女に執着するとこのようになるのか。他人事ながら大いに考えさせられた調査だった。しかし、僕は、きっちりと調査費用を請求した。但し、調査の目的は(販促に係る市場調査)として。・・・・