探偵日記

探偵日記 12月09日金曜日 晴れ

昨日は疲労が頂点に達したような気がして、休肝日にした。阿佐ヶ谷のうなぎ屋「あずまや」でうな重を食べ、20時就寝。朝4時半気持ち良く目覚めたので、当番ではなかったがタイちゃんを連れて散歩に出る。10時家を出て所用を済ませ事務所へ。

ロマンチックな恋の結末 23

勝手知ったる尾行だ。調査員のO一人がマルヒと同じ新幹線に乗り、お昼前田沢湖畔のホテルに着いた。1年に30泊はするだろう馴染みの宿泊客として迎えられる。但し、Oの役目はここまで。Oから報告を聞いた僕は午後の新幹線に乗った。目的は、弁護士が作成した「通知書」を、直接本人に手渡すためである。どうせ今晩も女性は訪れるだろう。しかし、実際に手渡すのは翌朝にしよう。その前に通知書を読んだりしたら折角の気持ちが萎えてしまうかもしれない。マルヒも離婚など考えていないことは手に取るように読めた。まあ、(武士の情け)というか、同性の思いやりみたいなものだ。

通知書の内容は比較的簡単なもので「マルヒ宛に、私は弁護士のHと申します。このたび、貴殿の配偶者OX殿の依頼で、貴殿との離婚及び、貴殿の不倫相手T氏に対する損害賠償の手続きを進める選任を命じられました。つきましては、一度お目にかかってお話ししたいと思いますので、貴殿のご都合をお知らせください。なお、当文書をお読みいただいた日より、ご自宅に戻ることや、直接奥様に連絡をしないこと、を、求めます。今後の連絡その他は代理人である本職を通じて行ってください。」と書かれてある。要するに、弁護士が代理人となって、夫婦の離婚、離婚に伴う財産分与や不倫相手にも慰謝料の請求をいたします。という、妻からの宣戦布告を行ったのである。手法はやや変則的ではあるが、同居中の夫婦の場合致し方ないのかな。と思った。--------------