探偵日記

探偵日記 04月24日火曜日 曇り

今日は朝早い仕事があり04時40分起床。05時10分に家を出て、新宿経由で藤沢まで。藤沢で少々まごつき、少し遅れて現場に着いた。最近はオートロックは常識で、探偵泣かせのマンションが多いが、今回の現場はその極め付けであった。普通は、出る住人と入れ替わりに建物に入り、その階でマルヒの外出を確認し、外の調査員に連絡する。待機している調査員は、マルヒの服装などを聞き追尾に入るのだが、かなり変則的な構造で、しかも、その階だけ部屋数が少なく立張りが困難である。そうこうするうち、日勤の管理人が出勤し清掃を始め建物内に留まることが出来なくなった。午前10時、部屋の明かりは煌々とついているもののマルヒは出てこない。ドアに回覧板がぶら下がっているので外には出ていないと思うのだが。----

調査会社あれこれ 3

神田の東京探偵事務所で修業を積み独立した者は、僕が知っているだけでも十数人居る。最初に独立したのが僕で、その他はみな僕の後輩ということになる。何かの集まりで顔を合わせると昔話に花が咲くが中には敬遠される者も居る。そんな一人にKという男がいる。僕もちょっとだけ一緒に仕事をしたことがあり、(なかなか優秀な奴だな)と思っていたし、実際に独立してからの活躍は目を見張るものがあった。小柄で小太り。決して女にはもてそうにないのだがとにかく口が上手い。別の言い方をすると「嘘つき」なのだ。歌舞伎町のホステスで、彼に偽物のローレックスを掴まされいいように遊ばれた女性を何人か知っている。或る時、変り者の依頼人がいて、東京の探偵を数人呼びつけ調査を命じた。次々と知った顔が現れるので嫌気がさした僕は途中で帰ろうとしたが、彼曰く「福ちゃん手ぶらで帰るのは癪だよ」と言って、いざ着手金を支払う段階になって、まだ何のかんのと口実を設ける依頼人に対し、Kが言った。「殿お戯れを」その一言で無駄骨を折らずに済んだ。-----------