探偵日記 01月19日土曜日 晴
僕はほぼ毎日阿佐ヶ谷の自宅から地下鉄丸ノ内線「新宿御苑前」駅まで通勤しているが、その方法が4つある。1）阿佐ヶ谷駅北口まで徒歩4～5分の自宅から、中央線阿佐ヶ谷駅まで行き、快速電車で新宿まで行き、丸ノ内線に乗り換えて2つ目の新宿御苑前で降りる。所要時間20分少々。2）阿佐ヶ谷駅から反対方向で1つ目の「荻窪」に行き、丸ノ内線に乗りかえる方法。所要時間30分弱。利点は、座っていけること。
3）阿佐ヶ谷駅前からすぎ丸という区バスで、3停留所の「区役所前」から、丸ノ内線の「南阿佐ヶ谷」に乗る方法。やはり所要時間は20分少々。4）バスを使わずに南阿佐ヶ谷まで歩く方法。所要時間30分弱。但し、土日は快速が停車しなので数分大目にかかるが、大体似たような時間で事務所に行ける。小さな家だが利便性は高く探偵の塒としてはまあまあ。
受件と報告3
1,2で述べたように非常に神経を使う業務で、「重要」さでは甲乙をつけがたい。強いて「集金」のことを最重要ととらえれば「報告」が最も大切と言えよう。まだ調査員として、神田の「東京探偵事務所」に勤務していたころ、結婚調査を担当し、報告と集金も任された。当時のN所長は優し人で「集金」が苦手だった。契約をして、約束通りの調査を遂行し、商品を渡してお金を頂くのだから遠慮する必要はないだろう。若く、経験の浅い僕たち調査員は、請求書を作成するのに苦心している所長を見て笑いあったものだ。その日、山手の高級住宅地に建つ依頼人のもとを訪問し報告書を読んでいただいた。僕的にはかなり出来栄えのいい報告書という自負もあり悠然と構えていたら、読み終わった依頼人の婦人が「ずいぶんあっさりした内容ですわね」と不満そうに言う。少し慌てた僕が（どの部分でしょうか）と恐る恐る聞くと、婦人が言う「私どもはこの結婚に反対なのです。このことは所長さんにもお伝えしましたのに、相手のお嬢さんの日常生活と言いましょうか、素行面がほとんどありません。」さらに、「私が結婚する時、父が京橋のほうの会社にお願いしたらしいんですが、それはもう綿密なもので、読んで驚いた記憶がございます」と、の給う。聞くと、その時の調査では1週間くらい相手の男性を尾行したという。
それでも、自分の子供くらいの青年をこれ以上責めても仕方ないと思ったらしくきちんと精算してくれた。このケースは「受件」の際の対応が不十分だったらしい。・・・・・