探偵日記

探偵日記 04月18日木曜日 晴

行きつけの調剤薬局に行き鼻炎の薬を貰って事務所へ。僕は自慢じゃあないが1年中の鼻炎で、特に秋のブタクサの時期が最も辛い。薬剤師でそこのオーナーのジュンちゃんが言う。「漢方がこんなに入ってる福田さん絶対飲まないと思うな~」馬鹿言ってんじゃあないよ僕は大の薬好き、医者の言いつけを守ってきちんと飲む。それが楽しみでもある。ちょっと頭が重いと感じたらすぐにクリニックに行き、来られたクリニックの院長も何か病名をつけて薬を処方しなければならない。そして僕は嬉々としてそれを頂き早速飲む。クリニックと薬局にとって上客なのである。
昨日、知人から依頼人を紹介された。案件は人探し。依頼人は言う。「住所と勤務先が分かればいいんです。8万円位で如何でしょう」と。チコちゃんに登場してもらいたいと思った。「馬鹿言ってんじゃあないよ」と言えたらどんなに気持ちいいか。しかし、決してそんな暴言を僕は吐かない。小会社の知人も同席しているのである。僕はにっこり笑って(この種の調査はとてもそんな金額ではできません。でも、00さんのご紹介ですから出来る限りやってみましょう)とこたえた。弊社の料金表には着手金500,000円と書いてある(笑)

詐欺師K 5

K部長の弟にされた僕は大人しく詐欺の片棒を担ぎ土日の府中競馬にも付き合った。勿論他の同僚も一緒である。パドックで係に引かれて回る馬たちを見る。栗毛に交じって黒い毛の馬が2頭いた。ど素人の僕はその2頭がとても強く感じ、(部長、あの黒い馬いいんじゃあないですか)と言うとみんながどっと笑う。部長が厳かに言った。ふくちゃん、あんな馬を買うんだったら乞食にくれてやったほうがよっぽどいいよ。どぶに捨てるようなものだから。と。サラブレッドは血統が重視される。短距離の得意な馬、ダート(砂場)を嫌がる馬等々教授された。まだ半分学生の僕は競馬につぎ込むようお金はない。せいぜい、100円か200円で遊ぶ程度だ。とても特券(1000円)なんか買えない。みんなに笑われたが僕は密かにその黒い馬同士の7-8を200円買った。みんなは観覧席に行ってレースを見るらしい。僕は見てみ分からないから食堂でビールを飲んでいた。レースが終わりみんながやってきて、K部長が興奮して言う「ふくちゃん買っただろうな」と。僕が(ハイ、200円だけ)と言うと大騒ぎになった。何と、逃げ馬の黒と黒で最後まで行ったらしい。大穴で配当は38,500円。200円買ったから計77、000円の儲けである。新宿に戻り西口の居酒屋でしこたま飲んだ後、歌舞伎町の軍隊キャバレー「ダイフク」に繰り出し散財した。当時のキャバレーは一人3000円もあれば充分飲めたのだ。・・・・・・・