探偵日記

探偵日記 05月10日金曜日 晴

晴れて暑いぐらいの陽気。出がけに人と会い、少々立ち話をしたが、汗が出そうななるほどだった。11時、事務所に着く。14時に報告が1件ありその整理をする。
色々整理しなければならないことが山積しているが、根が続かずはかどらない。しかし夜になれば元気になって酒が飲めるのだからおかしなものである。どうやらアルコール依存症になったか。
昨夜、マスコミの関係者とご飯を食べたとき、調査の相談を受けた。僕も昔多少縁があった話でいっとき盛り上がった。依頼の本筋は「所在調査」お聞きする範囲では、やや困難な調査になりそうだった。最近の問い合わせは複雑な案件が多い。まあ、探偵冥利に尽きる。といえばそうなのだが。

詐欺師k 15

1年の短くも愉快な野郎だけの集団生活は終わったが、kを含む彼らとの交流は続いた。kは自分の子供位の若い女性と所帯を持った。(可哀想に)僕は彼女のために心からそう思ったが、案に相違し短く終了した。kの借りたマンションは西武線のN駅前の新築の3LDKだった。僕は、へ~凄いところ借りたな~と羨ましく思ったが顛末を聞いて驚いた。kはそのマンションに2年ちょっといたが、入居の費用から退室するまで1円もお金を使っていなかった。僕が(どうしてそんなことが出来たの?)と聞くと、kはにんまり笑ってこうこたえた。「入るときは絶対に決済されない手形で費用を払い、月々の家賃は全く支払わず、家主が督促するたびに、また必ず不渡りになる買い手形を持って行き、滞納した家賃を払って余ったお金を現金で受け取る」註)巷では会社の売買及び手形を売る商売が存在する。額面は関係なく5万円~10万円で買うことができる。kは家賃が数か月溜まるとその手形を買ってきて、お人よしの家主のところに行き(商売で手形を貰った。またこれでお願いします)と泣きつくのだそうだ。家主は、これまでもらった手形がすべて不渡りになるのだから、拒否すればいいようなものだが、世の中には神様みたいな人もいるもので、(kさんも苦労するね~)と同情さえしたという。結局、ほかの債権者の追い込みが厳しく、またまた夜逃げしたが、その家主さん1000万円以上損をした。・・・・・・・・・・