探偵日記 12月25日水曜日 晴
メリークリスマスというのだろうか仏教徒の僕にはピンとこないが周囲はそれを許してくれない。我が家も、ということで今日は愚妻の希望でディナーショーとやらに行く。愚妻がフアンだといい、僕も少々馴染みのある、吾亦紅で知られる「杉本まさと」さん。朝からファションショーさながら、(これを着て行こうかしら、こっちはどう)とかしましい。僕的には知人もいることだし(ロングの毛皮のコート)
を着て行ってもらいたのだが、「今は毛皮なんて流行らないから嫌」だと言う。まったく、女子と子供は養い難し。朝ご飯の後、年賀状書きに精を出したが一向にはかどらない。どうにも根が続かず、すぐに腰も痛くなる。こんなことなら多佳ちゃんに筆まめで印刷してもらえばよかった。
ゆうこ 7
依頼の目的は、とにかく居所を探せ。ということで探偵的には「所在調査」であり、この種の調査は主管(探偵業は警察庁である)から、(依頼人は親族に限る)というお達しがあって、例えば(自分を振って逃げた女を探してくれ)などという依頼は決して引き受けてはならない。ことになっている。しかし今目の前にいる初老の男性は父親(とは言っていないが)娘と明言している。かしこまりました。朴は慇懃に応じ、とりあえず着手金100万円を受け取り辞去した。その日の夕方、ゆうこが通っている大学に調査員を張り込ませ調査を開始した。
時間帯が悪かったのかその日は空振り。翌週の月曜日朝、校門で登校してきたマルヒのゆうこを確認。継続して張込を続けさせた。その結果、夜の10時ころ調査員から電話があり、茨城県つくば市のかなり辺鄙な、しかし、真新しいアパートに1室に帰宅したことを突き止めたと報告があった。「いや~所長メチャクチャ可愛い子ですよ」興奮し口ぶりで言う調査員に(すぐメールで写真を送れ)と告げ、実際のマルヒの近影を見てぼくもうなった。・・・・