探偵日記 03月20日金曜日(祭日)
今日は彼岸の中日。日本特有の雑節の日である。人が、煩悩を脱し涅槃の境地に至った時のこと、この世の岸から向こう側の岸に渡ることを言うらしい。
今日は、10時過ぎにゴルフの練習に行き、その後新宿へ。夕方、阿佐ヶ谷に戻って、松の寿司で食事して、隣のスナックへ。でも、少々疲労が溜まった感じなので、早々に帰宅した。
世の中、コロナ騒動一色。この先、我が国もどうなるんだろう。少し不安だ。
新宿・犬鳴探偵事務所 3-20
夫人とて、犬鳴に調査の本当の目的をあからさまには言えず「ちょっと調べてみて」と、ことさら簡単に頼んできたが、この頃になると、犬鳴は、夫人の深層心理はお見通しだったし、夫人のほうも、この探偵、私の秘密も承知しているだろうし、今回の調査の核心も理解しているはずだ。犬鳴と夫人は、そんな阿吽の呼吸で通じ合えるほど、井口夫人は犬鳴を信頼していてくれた。
充分な費用を貰い、犬鳴探偵事務所は、夫人の不倫相手の娘及びその家庭に対する調査は綿密に実施された。しかし、よく考えてみると、全く身に覚えのないことで、小女に執拗に調べられるほうはたまったものじゃあない。と、普通はそう思うだろうが、実はそれなりの原因はあった。最初に手を振り上げたのは娘のほうで、井口夫人は対抗上調査に踏み切ったのだった。・・・