探偵日記

探偵日記 04月13日月曜日 雨

朝から降り続いていた雨は正午を過ぎるころには本ぶりとなって、風も加わり荒天の予感。それでも律儀な僕は毎週月曜日の9時半から行われるゴルフのレッスンに行った。さすがに、何時もが十数人いる生徒も今日は二人だけ。そのかわり、しっかり教えてもらえた。家に帰りランチは近くの中華そば屋で、もやし蕎麦と半チャーハンを食べる。15時に予定している弁護士との打ち合わせのため一旦帰宅。支度をすませた頃、案の定中止の連絡が来た。弁護士曰く「今奥さんから連絡があり、夫の小旅行の予定が変更された」との由。ちょっと変だな。と思っていた夫が地方のホテルを予約したので、これは不倫旅行だチャンスと思ったらしい。夫も、奥さんも、探偵もガッカリ(笑)

新宿・犬鳴探偵事務所 4-13

犬鳴は時々思う。政治家や企業のトップのように立場のある人物らの脇の甘さ。なぜだろうと考える。幼少時より塾に通うなど勉強漬けになり、その結果、学業郵秀で最高学府に進み、卒業後は、或る者は大手企業に就職、管理職や役員となる。またある者は国家公務員となり確実に階段を駆け上り、その後、地元から期待されて選挙に出て当選、回を重ねて要職に就く。そこで彼らは子供の頃からくすぶり続けている本能に目覚め、享楽の刺激を知ってしまう。ところが悲しいかな防御の術を知らない。お山の大将になって(ふん、俺に苦情を言うやつが何処にいる)とそりかえって危機の意識がマヒし、危機管理を怠る。向かうところ敵なしとばかりに胸を張って、肩で風を切って突き進んでしまう。そこにWのような種類の人間が虎視眈々と目を光らせ網を張っている。そして、探偵が探偵たる能力を発揮して決定的な場面をホーカスするのである。
この日のWはこうした。アポを取って訪問すると秘書が社長室に通す。四流といえども一応経済誌に主幹を無下にも出来ない。犬鳴はカメラを胸に抱え同行、邪魔にならないようにスナップを数枚撮影して後は大人しく社長様の高邁な経営論を拝聴。相槌を打ちながら神妙に聞いているWのカバンの中には・・・・・