探偵日記 02月20日木曜日 曇り
半日は何時ものとおり。夕方から久しぶりのクラブ活動。A新聞の記者とご飯を食べて、迎えに来たままに引率されてお店へ。2時間ほど飲んで帰宅。
新宿・犬鳴探偵事務所 2-20
(明日の午後5時ころ東京に着きますが奥様はその頃どうしていらっしゃいますか)と聞くと、依頼人は、「犬鳴さんの予定に合わせるわ、青森はずいぶん怒っているでしょうね」と言う。(ええ、まあ)犬鳴は曖昧に言葉を濁したが、この人には会わせないほうがいいだろう。と、思っていた。マルヒとの連絡は手伝ってもらいたいが、沙織を交えた会談に加わらせることは忍びなかったし、この依頼人には何時までも可愛い人でいてもらいたかった。(費用ですが)犬鳴は依頼人が気にしているだろうもう一つの要件を切り出した。気のせいか、受話器の向こうで依頼人が姿勢を正すような空気が伝わってきた。今回のような問題のような場合は、どれだけ吹っ掛けられても否とは言えない。いや、言えるだろうがその時は物別れに終わり、依頼人夫婦にはもう一人相続人が増えることになる。(とりあえず、ご両親の交通費、宿泊費、まあ、娘の部屋に泊まるっていうかもしれませんが、堕胎の費用と沙織の当面の生活費はご用意ください。沙織がノーと言えばこじれるでしょうが、父親は信用できると思います。)と伝え、両親もこちらの希望に沿った尽力はしてくれるはずです。と付け加えた。そして、詳しいことはお目にかかってから。として、(おやすみなさい)と言って電話を切った。・・・・・・・・・・・