探偵日記 02月19日水曜日 晴
今朝はすっきり晴れてて、部屋から富士山が良く見えた。07時、起床、すぐに朝ご飯を食べて外出。
世間の義理を果たし、午後、雀荘へ。久しぶりに負けた。夜、何時ものように阿佐ヶ谷の居酒屋でビール1本、焼酎2杯飲んでカラオケスナックへ。2曲歌って帰宅。変り映えしない1日。
ただ、いいこともあった。麻雀中、携帯に電話があり「銀座の00先生のご紹介で電話いたしました。ちょっとご相談したいことがありまして」と、落ち着いた女性の電話。どこかでお目にかかりましょうか?と言うと、先方もそのつもりのようで約束が出来た。いいことや、良くないことが交互にある。人生は面白い。
新宿・犬鳴探偵事務所 2-19
沙織の父親は幸いにも好人物だった。会話の端はしに生真面目さがにじみ出ている。おそらくこれから何をどうしていいのか分からないものの、工藤家の一員が不始末をしでかした。その事のみに動転しているのかもしれない。母屋に戻る父親の背中はうなだれて小さく見えた。
犬鳴がホテルにチェックインして1時間も経っただろうか、工藤氏から電話が入り、明日朝一番で立ちたいという。犬鳴が迎えに行き、盛岡から特急で上京することに決まった。母親も一緒に行くという。(じゃあ、細かいことは車の中ででも)と言って電話を終えた犬鳴は、受話器を持ち換えて依頼人にかけた。夫人は、犬鳴の声を聞き「お疲れ様」と言う。依頼人もちょっとの間に成長したのだろう。もしかしたら、柳原家も崩壊し、自分の人生も大きく狂ってってしまうかもしれない。そんな人生の岐路に遭遇し、持ち前の気の強さや、天真爛漫な可愛い性格が一変するほどの日々の苦悩。犬鳴もこの年になってようやく分かる。男、夫にしてみれば軽い遊びだとしても、女性にとってはこれほど苦しいことはない。焦燥とやり場のない不安。それでもそんな出来の悪い亭主の尻拭いを必死にする。
そして探偵の犬鳴はそんな依頼人に頼りにされている。・・・・・