探偵日記 02月18日火曜日 晴
今日は珍しく仕事をした。但し、慣れないことをしたので大いに疲れた。一つの探すのに1時間かかって5000歩歩いた。結果的には、初期の段階ですぐ近くまで行っているのに(笑)
その最中のことだけど、僕の携帯に電話がかかり、出ると、「貴方のお名前は」と言う。僕は(いや、そちらから下さったんですよ、僕は福田と言いますが)と応じると、「じゃあもう一度かけなおします」と言ってまたすぐそのご婦人からかかった。しかし、やはりあなたの名前は?と言う。馬鹿らしくなった僕は、(僕は株式会社TDAの福田です)と言っても理解してくれず「私は探偵事務所を探しているんです」とヒステリックに言う。僕は(貴女のような失礼な人の依頼はお受けできません)と言って切った。短気は損気。一つ仕事を逃してしまったかもしれない。
新宿・犬鳴探偵事務所 2-18
工藤氏は「分かりましたこれから沙織の母親と相談しますが、明日東京の参りましょう」と言う。それから、自分たちは東京に行ったことがないので、どうしたらその先生に、お会いするのにはどうしたいいのか、これからの犬鳴さんの予定は、などと聞いてくる。要するに、(犬鳴の話は良く分かった。娘がとんでもないことをしでかし、東京の偉い先生に迷惑をかけている。自分たちが上京し首に縄をつけても青森に連れ帰る)というのが、犬鳴の話を聞き、短時間で出した彼の結論である。勿論慰謝料とか、そんなお金のことなど思いつかない様子である。
あまりにもあっけない進展に戸惑った犬鳴だが、(この父親の気持ちに任せてみよう)と思い、東京を出る際に予約しておいた今夜の宿泊先を伝え、一旦ホテルに帰って待つことにした。
帰り際、(じゃあ、私はこれでホテルに戻りお待ちしていますので、奥様とご相談されてお返事ください。先方には一応連絡しておきます。交通費や、手術の費用、沙織さんの当面の生活費など先方に負担させます。しかし、何よりも沙織さんの精神的なこともありますので)と、慰謝料のこともやんわりと申し出たが、父親は聞こえなかったのか黙って車を降りて、母屋に向かった。・・・・