探偵日記

探偵日記 8月5日水曜日 晴れ(今日も猛暑)

 10時、事務所着。明かりをつけてクーラーのスイッチを押す。設定温度は23度。すでに15分経過したが座っていても汗が滲む。家を出たところで、栃木県のひととのやCCから電話がかかり、9日の月例のスタート時間を知らせてくれる。アウト8時だそうだ。本日の栃木県は確か35度、芝の上はもっと上がるだろうから40度近いかもしれない。

れんげ 22

 暮も押し迫った12月28日、ボランティアの男性がその犬を連れてきた。しかし、車のケージから出すのにひと苦労した。吠えたりはしないがとにかく抵抗の仕方が凄まじい。男性が笑いながら言う。「この子は警戒心がメチャクチャ強くて、センターに捕獲されたのがよほど怖かったのでしょう。リードをつけるのも苦労したけど、ほらこのざまですよ」ひかるが車の中をのぞくと、繋いでいるリードの一つは噛み千切られ、もう一方のリードに噛み付いている白い犬が居た。「まあ、手に負えないようでしたらご連絡下さい。引きとりに参りますから」この若い男性とひかるは顔馴染みである。お互いの気心も環境も分っているので、そんな言葉もかけられた。実際、いざ預かってみるとまったくなつかないし、やたらと暴れまわり、家具を壊されたこともある。しかし、少し意地っ張りなところのあるひかるは、今まで預かった犬を返品したことは無い。辛抱強く接し、犬が心を開くまで付き合う覚悟さえ持っている。そして、次第に感情を表わしてくる日々の変化も結構楽しい事をひかるは知っていた。その夜、何とか車から家の中に入れたものの、今度は玄関から動こうとしない。水をやっても食べ物を出しても頑として受け付けない。ひかるは(この子もそうと頑固そうだ)と思った。ーーーーーーーーーーーーーーーーー