探偵日記

探偵日記 03月29日 日曜日 雪

季節外れの雪が降る。朝早くは雨だったのに、やがてみぞれに変わりとうとう本格的な雪になった。幸い休日で特に予定も無かったので家でゆっくりできた。雪を見て思い出したことがある。バブル真っ最中の4月18日のこと。当時、我が貧乏探偵事務所も調査員が20数名になりひっきりなしに依頼が入っていた。まあ、経済的にも潤っていたのだろう、顧問弁護士をお神輿にして年数回ゴルフコンペを催していた。そして、春のコンペを明日に控え、或る依頼人から5000万円集金し、みんなを待たせて、当時、新宿駅前にあった富士銀行のATMで入金した。とにかく、随分時間がかかったことを覚えている。やがて、中央高速の上がって一路山中湖へ。その晩は、かの有名なホテルに泊まって、翌日敷地内にあるコースでプレーする予定だった。到着後、どんちゃん騒ぎとなり、宴会が終わると有志だけで麻雀に興じた。往路小雨だったが予報では明日は晴れるはずだった。翌朝、ベッドで目覚めた僕は部屋の窓から差し込む陽光にヤッターと思った。すると、部屋の電話がリリ~ンと鳴る。何だろうと思って出ると「福田様でしょうかおはようございます」というフロントマンの声。続けて、「大変残念ですがクローズとなりました」と言う。なんで?晴天じゃん。と思って窓を開けて外を見て驚いた。なんと、白銀の世界。参加者20数名、朝のレストランで呆然とし、誰かが(なんとかならないかな~)とぼやき、じゃあ他を当たってみようということになり付近のコースに片っ端から電話をするもいずれもノー。
ちょうどロスから帰国していた、歌手で実兄の宮本二郎(本名、福田捷)が、じゃあ、青江三奈のコースを聞いてみよう。と言って、青江さんに電話し、伊豆の彼女のメンバーコース(湯ヶ島カントリークラブ)をとってもらい、どうにか開催できたことがあった。しかし、山中湖から湯ヶ島まで車を連ねて行き、コンペを終えて帰京したのは午後10時過ぎだった。ほろ苦くも華やかな思い出である。

新宿・探偵事務所 3-29

数日後、井口夫人に報告する。とりあえず口頭で報告する犬鳴の説明を聞きながら、(まったく男ってしょうがないわね~)と、わざとらしく嘆息する。確かに、当時はまだ圧倒的に男性のマルヒが多かった。しかし、相手が居なけりゃあしたくても出来ないのが不倫にかかわらず男女の営みであろう。だからといって、相手の女性が一方的に悪いというわけではないが、中には、既婚者にしか関心を持たない女性もいる。そういう女性にとって、(愛人)という立場はプラスアルファの刺激があるのだろう。マルヒの相手の女性は決して美人ではないが知的で大人しそうな人だった。おおじぬ