探偵日記 01月29日水曜日 雨のち快晴
昨夜は銀座の料亭で顧問先の会長の誕生日パーティに出席。朝から降り続く雨は勢いを増し、クラブに移動するときは本降りになっていた。総勢19名、二丁目から七丁目の店までぞろぞろと歩く。
僕は今日ゴルフの予定であり、会長とママにあらかじめ断って10時半ころ中座した。タクシーで11,000円かけて帰宅。すぐに寝たが、朝起きた時はもうろうとしていた。
友人の車で埼玉県小川町のコースへ。家を出るときは小雨になっていたが、高速に上がった頃には回復。スタートの時は快晴に変わっていた。それでも、ヘアウエイはぐしょぐしょ。このところ熱心に通っているレッスンの成果も出ず普段と同じスコア。夜は、阿佐ヶ谷の居酒屋で反省会。毎度お馴染みのコース。少しも成長しない。
新宿・犬鳴探偵事務所 28
マルヒは病院を出ると、都営地下鉄「河田町」駅方面に歩き、大久保通りでタクシーを拾った。どうにか車両班が間に合いタクシーを追尾。歌舞伎町の風林会館前で下車したマルヒは、あずま通にある喫茶店「ルノアール」に入った。この辺りは犬鳴の縄張りである。何となくホッとしてマルヒの見える席に着く。ウエイトレスが目ざとく犬鳴を見つけ満面の笑みで迎える。その子に(仕事中だからな)と言う。
そのうち、調査員らも全員店に入りマルヒを取り囲むように席をとって待機する。
犬鳴はほとんど調査員を叱らない。まあ、自分も調査員生活が長かったこともあり、探偵の苦労やキビを十二分に知っているからやたらと怒れないのだ。しかし、今日に限っていえば5人の10個の目で見ているにもかかわらず、警戒の気配も見せず出てきたマルヒを見逃してしまった。調査員らはきまり悪そうに犬鳴と目が合わないようにちじこまっている。
或る時、経験豊富な和久田が出ごけ(尾行開始早々まかれること)して事務所に戻ってきたことがあった。「すみません。何だか警戒して変な動きをするものですから」と言い訳した。犬鳴の虫の居所も悪かったのだろう(どうして?だって今日が初日だろう、警戒するはずないだろう。じゃあ、何処で変に思われたんだ)と聞くと、「分かりません」と言う。和久田の言い分は、家を出た時はそうでもなかったんですが新橋に来たあたりからマルヒの運転が変になって、距離を開けたために見失った。らしい。ちょうど全員揃っていたのでいい機会だと思った犬鳴は(馬鹿野郎、そんなことも分からないようなら探偵なんてやめちまえ。蕎麦屋の出前持ちにでもなったらどうだ)と、大声で怒鳴りつけた。・・・・・