探偵日記 02月24日 月曜日(振替休日)晴
何時もの時間に朝ご飯を食べて、10時前にゴルフの練習に行く。一旦帰宅して新宿へ。休日なのに雀荘は大賑わい。僕と同じ暇な連中が多い。(笑)
今日は新宿で夕飯をすませて阿佐ヶ谷に帰りカラオケスナックに立ち寄り帰宅。明日は9時に歯医者さん。12時に新しいご依頼人と東口の喫茶店で面談の予定。
新宿・犬鳴探偵事務所 2-24
犬鳴はマルヒの言葉を聞いてどっと疲れ、返す言葉も無い。親はともかく、彼がどんな言葉で説得したのか知らないが、男も男なら沙織も沙織だ。犬鳴は仕事だからしょうがないが、可愛い娘の一大事に駆けつけ、犬鳴や柳原の前でうちひがれる両親を見て沙織は何を思ったのか。
ホテルから少し離れたところに柳原夫人のベンツが停まっている。どんな場合も哀れなのは女のほうか。
朝10時、都庁近くのホテルに行く。田舎の人は律儀だ。犬鳴が新宿公園に面したラウンジに行くと、居心地悪そうに工藤夫妻が待っていた。そして、犬鳴の顔を見てホッとした表情になった。そんな夫妻を見て、犬鳴は5~6年前のある光景を思い出した。犬鳴の郷里、山口県の片田舎から犬鳴の小学校の担任の先生が夫とともに上京してきたときのことだ。その女の先生と犬鳴は浅からぬ縁があった。当時、小学校に入学したばかりの犬鳴は重い病にかかり手術を必要とした。しかし、今のように医療負担が軽くない時代で、養母の力ではどうにもならなかったとき、赤の他人の、まだ若く、しかも結婚したばかりだった先生が、自分のお金で犬鳴に手術を受けさせてくれた。今でもよく覚えている。隣町にある総合病院に連れて行かれ、診察をうっけたあと数日後に手術することに決まったのだが、少し坂になっている病院までの道を、先生は、「犬鳴君は大きくなったら何になりたいの」とか、「一生懸命お勉強して偉くなるのよ」とほほえんで、犬鳴の手をしっかり握ってくれた先生の手の温もりを。・・・・・・