探偵日記 03月05日木曜日 晴
晴れた風の強い日だった。12時、事務所の近くのお蕎麦屋さんで調査員とランチ。何時ものように、僕は冷たいとろろ、調査員はけんちんをたのむ。その後喫茶店で簡単に打ち合わせ。
午後6時、依頼人と食事してクラブを1件覗いて帰宅。友人たちの今日のゴルフ、天気は良かったけど風が強くて苦労しただろうな~などと考えつつ就寝。
新宿・犬鳴探偵事務所 3-05
当時、主管の担当者から「警備業法を下敷きに勉強しておきなさい」と言われ急遽協会内に(法務研究会)を設立、かなり前に施行されていた警備業法(ガードマンに対する法律)を参考にして毎週集まって討論したものだった。その法律はその当時、各地で起こったガードマンらの窃盗や殺人がきっかけで成立したものだが、同じ主管ということもあって、我々探偵業界に対する業法成立の可能性を強く感じさせたが爾来一向に兆しは見えなかった。ちょっと乱暴な担当者は「あんたたちももっと事件を起こせば」などと冗談を言われる始末であった。
長年一匹狼を気取って仕事をしていたが毎日のように入って来る依頼に追いつけず、必要に迫られて採用して、この頃は事務を加えると30人近い社員を抱え、都内の同業者の中でも大手と言われるようになっていたし、犬鳴のところから独立していったものもいて、グループを形成し、協会内にも(犬鳴派)のようなものも出来つつあった。いきおい、協会内における発言も重く受け止めれることとなった或る日、その中の一人が「ワンちゃん、ちょっと相談があるんだけど」と、言ってきた。彼は年齢こそ犬鳴と同じ年だったが、探偵としての経験は浅く調査能力や、事務所の機動力もいまいちの男だった。・・・・