探偵日記 03月06日金曜日 晴
今日も少し風の強い1日だった。09時、歯医者さんに行って1時間、痛い思いをして後帰宅。ゴルフの練習に行き、帰りのお蕎麦屋さんで天丼を食べて家に帰り、シャワーをして弁護士事務所へ。今日のメインスケジュールはその事務所で裁判の打ち合わせ。ばかばかしい限りだが、僕の某年某月のブログが被告側の証拠資料として出てきたため。僕は、ブログを書く時、当たり前だが守秘義務を厳守している。確かにノンフィクションとうたっているが、真実をそのまま書くことは決していない。読者が(ああ、あの探偵事務所はこんなこともやってくれるんだ)と思うように脚色しているし、あくまでも、(フィクション)です。そう断っていたつもりだが、切羽詰まった被告が苦し紛れに僕のブログを反証として出した。本当に困ったものだ。
新宿・犬鳴探偵事務所 3-06
ただ、その男は、俗にいう剛腕で、一旦言い出したら後に引かない覇気を持っていた。協会内で、犬鳴とは特に気が合い、ゴルフにマージャン、さらに夜のクラブ活動も共にし、毎日のように歌舞伎町に繰り出した。そうした或る日、新宿東口の喫茶店でコーヒーを飲みながら、その男が犬鳴に囁いた。当時、何でもありの犬鳴だったが、その相談内容を聞いて絶句した。なんと、彼は、「ワンちゃん、チャカを手に入れてくれないかな~」と言ったのだ。瞬間犬鳴は(オイオイ、頼む相手を間違ってるんじゃあないの)と思ったが、生来見栄っ張りの犬鳴のこと、(そんなことできないよ)とは言えず、何に使うんだよ。と聞いてしまった。まさか、殺人なんかしないだろう。それほど馬鹿じゃアないし、経済的にもそんなにひっ迫しているようにも見えなかった。彼はいともなく言った。「うん、或る家の玄関に打ち込んでやるだけだよ」と。・・・・・・