探偵日記


2022・09・05 月曜日 ☀




また、暑い日が戻ってきた。昨夜も7度越えになり後遺症は続く。(休んじゃおうかな)と思ったが小心者の僕はさっさと支度して、9時過ぎに事務所へ。




詐欺師 K 8




三郷の団地から川口のアパートへ夜逃げして半年余りくすぶっていたが、良くしたもので、この間、僅かな運に助けられ、競馬で凌げたようだ。そうした或る日、割れ鍋に綴蓋というか、Kに女が出来た。以前、まだKが普通に勤めていたころの部下の女性とバッタリ会った。彼女曰く、(私前からKさんのことが好きだった)とのことで、すっかり舞い上がったKは、金もないのに池袋近くの超高級マンションに入居した。家主は不動産屋を営むボンボンでバカのつくお人よし。Kは、300万円の手形を業者から仕入れ(集金が手形になってしまった落ちるまでの利息はお支払いいたしますのでこれでお願いできませんでしょうか)と言ったら、家主は二つ返事で承諾し、精算した残りをKに現金で払ったという。そしてめでたくお引越しした二人は濃密な蜜月に入った。          註)当時、小切手や手形を販売する業者が沢山あった。数か月後確実に不渡りになり、受け取った人や会社は不良債権を抱え込むが事件にはなりにくい。また、Kが夜逃げしたアパートも方々にあり、1か月の家賃を前払いするだけで面倒なものは一切なし。ただ世間の相場より少し高かった。