探偵日記


2024・02・14 水曜日 ☀




久しぶりに早めに事務所へ、病床にある老妻と二人きりの静かすぎる生活から副都心へ。電車が新宿駅に着き、車外に押し流されるように出た途端、耳をつんざくような騒音に包まれる。ああ、こんな街にもう60年以上住んでるんだな~と一瞬感慨にふける。僕の故郷、山口県のひなびた漁村は、朝、沖から戻った漁船から収穫の魚をトラックに積み込む1~2時間喧騒に包まれるが、あとは、穏やかで静かな佇まいにかえる。勿論、都会で日常的に発生する凶悪事件や事故もなく、各家とも玄関に鍵をかけることもなく平和そのものである。そんな、世間から取り残されたような村から(生き馬の目を抜く)と言われるぐらいせせこましく、また危険な東京で、しかも「探偵」という、魑魅魍魎な世界で、今までよく生き抜いたものだと我ながら感心する。しかし、よくよく考えてみると、僕は特別な能力も無く、頭脳も人よりは劣っている。と思う。ただ、だからこそこの職業にしがみついてここまで来たんだろうと思う。「継続こそ力なり」とすれば、これまで、自分の仕事に疑問も持たず、他に世界に全く関心も無かったことが良かったのかもしれない。いずれにしても、(貧乏)が似合っている。と、信じてやまない。