セーラー服 その1

探偵日記 11月13日火曜日

一大事が起こった。我が家の愛犬「ネクタイ」(通称タイ)の左目が開かない。今朝、何時ものように、5時起床。10分前に隣の部屋を出て、長い廊下(ウソ)を歩き僕の部屋のドアまで来ているのは分かった。ところが、何時ものように僕を起こす気配が無い。後で聞いたところによれば、そのままドアの前で寝てしまったらしい。僕が仕度をして部屋を出ると、奥さんの部屋のベッドでキョトンとした顔で僕を見つめている。(タイちゃんお散歩に行かないの?)と声をかけても反応が無い。

それでも僕が下に下りると仕方なさそうに尾いてきた。しかし、いざ外に出てもなんだか元気が無い。家のほうを何度も振り返り帰りたさそうにするので、(帰る?)と聞くと、帰る素振りはするものの、また歩き始める。30分くらい歩いただろうか、顔を見ると、心なしか左目が右目に比べ小さいような気がする。おしっこも沢山したし、ウンチも2回したので、散歩は40分で切り上げた。

朝食の後、早速、斜め前の動物病院に連れて行く、ドクター曰く「左目の下を何かで強打し、奥が炎症を起こしている。そのため熱もあるので、それで元気が無いんでしょう」との由。2種類の目薬を貰って1万円近く請求された。毎度のことだが、(保険利かないんですか)って、喉まで出かかった。(笑)

しかし、ペットは家族同様、痛いとか苦しいって言えないだけ不憫に感じる。軽自動車にF1のエンジンをつけたような犬。と言われるぐらい元気印がぐったりと寝ている姿は痛ましい。-------



セーラー服 その1

口うるさくて怖い娘が、あれも書くな、これも駄目。というので、はしょった内容になるが、もう10年以上前の調査を報告する。

或る日のこと、ホームページを見たという中年のご夫婦がやってきた。依頼の内容は高校3年生の二女の素行調査。何でも最近様子がおかしく、帰宅時間が極端に遅い上、服装も派手になり、休日等、お化粧をして出かける由。「何か悪い仲間が出来てるのではないか」というご心配のようだ。話を聞きながら、随分昔に流行った映画を思い出した。松田優作主演の(セーラー服と機関銃)だったか、資産家の令嬢を尾行しながらガードもする。という内容だったと記憶するが、この映画を見て(探偵)を志望する若者が増えたように思う。マルヒのお嬢さんはなかなか可愛い女の子だった。僕が担当したいぐらいだが、年寄りコナンの出る幕は無い。結局、若い調査員二人が調査に当たることにした。

マルヒの家は横浜市、(港の見える丘)近くの高台にあった。いうまでもなく豪邸である。尾行調査3日目、調査は難なく解決した。両親の推測どおり悪い友達が居た。しかし、グループではなく、単独。ありていにいえば、(ボーイフレンド)がいたのだ。ただ、17才の高校3年生にあるまじき交際状況で、喫茶店で会ったと思ったらすぐに近くのラブホテルにしけこんだ。相手は10才ぐらい年上に見えるサラリーマン風のにやけた男。

この日、学校を出たマルヒは、繁華街に近い駅で下車するとトイレに駆け込み、出てきた時は、調査員が見間違うほど変身していたという。勿論、セーラー服は私腹に着替え、濃い目に化粧を施し、ご両親には気の毒だが、(キャバクラの女の子みたいです)調査員はそう言って報告してきた。------