セーラー服 その2

探偵日記 11月16日金曜日

昨日はボジョレーヌーボの解禁日、友人のレストランに仲間20名が集まって楽しく過ごした。その後、何時ものように、(天国に一番近いスナック)「ほろよい」に行き、01:00帰宅。それでもタイちゃんは容赦なく05:00きっちりと起こしてくれる。二日酔い状態で、気がつくと1時間10分歩いた。昨日から奥さんがいないので、ネコ2匹のごはんをタイちゃんと一緒に食べさせ、2時間あまり寝た。本当はもっと寝ていたかったのだが、10時半に約束があり仕方なく出かける。11時40分事務所へ。

今日はゴルフ仲間の通夜、まだ50歳ちょっとなのに肝臓ガンであっけなく逝ってしまった。ドライバーは300ヤード以上飛ぶうえ小技もうまくコンペのハンデは0非常に体格も良い人だったが若さゆえか進行が早かったようだ(合掌)



セーラー服 その2

事務所に訪れた依頼人夫婦と今後の打ち合わせをする。当然ながら両親とすれば何とかその男と縁を切らせたい。と言う。僕のほうからの意見は差し控え依頼人の考えを聞いてみた。依頼人夫婦は、「その男性は他にも女性が居るだろう。だから、娘以外の女性と会っている写真を見せれば娘の気持ちも変わるのではないか。」と、次は、その男の素行調査をやってくれと言う。まあ妥当な方針だなと思い翌日から男性Yの尾行を開始した。依頼人が想像したとおり、尾行初日、Yは他の女性と会い依頼人のお嬢さんと行ったラブホテルに入った。

ホテルの出入を写真に撮り、念のため、相手女性の住まいも確認しておいた。その顛末をすぐに報告、あとは、依頼人に任せ本件は終了した。

ところが、10日ほど経った或る日、横浜の警察署から僕に電話があり、「ちょっと聞きたいことがあるので来てくれ」と言われ、あ、あの件に関連することだな、と思い依頼人に連絡するがなかなか繋がらない。仕方なく、翌日警察に出向いて驚いた。

マルヒのお嬢さんがラブホテルで首を絞められ殺されたという。犯人はあのにやけた男、勿論すぐに逮捕され全てを自供しているらしい。警察は、僕に調査を行った経緯を聞きたいという。すでに両親からも聞いているはずだが念押しみたいなものらしかった。僕も、隠す必要が無いのでありのままを話し、ついでに質問した。お会いした刑事さんも探偵事務所に理解のある人で好意的に応じてくれた。

犯人の自供内容(彼女が高校生とは知らなかった。付き合いは半年あまりで、すぐに深い関係になったが、結婚とかそういう約束は一切していない。あの日、何時ものようにホテルに入り、行為が終わったあと、彼女から、別の女性とホテルに入った写真を見せられ詰問された。最初は適当になだめたりしたが、彼女が、その女性の家に行く。などと言われ、かっとなって首を締めてしまった。殺すつもりは無かったが相手が半狂乱になってしがみついてきたので、つい力が入って。)ということらしい。

成り行きでそうなったが殺意は無く、計画性も無い。から、10年ちょっとで出れるだろう。というのが、刑事さんの個人的な感想だった。男は取り調べの時の態度も従順で、当然ながら十分反省もしているという。遊び人で女たらしという以外は、周囲には好青年に写っている様だった。その後、依頼人の夫婦からも連絡が入ったが、遂にお会いすることも無く、女子高生の素行調査は完全に終了した。

あれから可なりの年月が経ち調査や事件のことは思い出さないが、時々、女性について考えさせられる。(女の性)と言ってしまえばそれだけのことだが、つくづく奥深いものだと思う。高校三年生、まだ17才のマルヒもじゅうぶん女だったのだろう。(嫉妬)ほど怖いものは無い。勿論男のそれも性質が悪い。と、女性は言うが、男が頭で嫉妬するのに比べ、女性は全身で嫉妬するのではないか。というのが、浅い経験の、僕の持論である。

世の男性諸君、ゆめゆめ女性を馬鹿にする無かれーーーーーーー(了)