探偵日記 4月1日水曜日 曇り後雨とか
とうとう今年も3ヶ月消化した。世間では新年度で、何かしら新しい目標を掲げてスタートを切る日だろう。我が貧乏探偵事務所の決算は9月だから、あと5ヶ月後に結果が出ることになる。ただ、僕的には、やはり1月1日が新年度の始まりだから、あと9ヶ月残されている。123の結果は余り良くないので、世間的な新年度に期待したいところである。今月は28日ぐらいからGW帰省。5月6日に東京に戻って、さてどうなりますやら。
新宿・犬鳴探偵事務所 9-3
裁判長「証人は原告側から示された証拠品について、テープ以外は自社のものと認めるんですか」
犬鳴 (はい、事務所のゴム印や社印が押してあるので多分そうだろうと思います)
裁判長「そうすると、客観的に見て、報告書、請求書、領収書、テープは整合性が有ると思うのですが如何ですか」
犬鳴(そうですね。ただ、テープについては本当に心当たりがありません。実は、裁判長のご質問ですから正直に申し上げますが、請求書も領収書も架空のものです。したがって、領収書に書かれてある金員は頂いておりません。
裁判長「それはどういうことですか」
犬鳴 (Mさんに対する調査は実際に実施致しましたが、先ほども申し上げたとおりごく普通の身元調査でした。ところが、今この法廷にいらっしゃるWさんから懇願されてやむなく捏造しました。と言いますのは、或る日の夜、歌舞伎町でWさんとばったり会ったのですが、深夜にもかかわらずご婦人とご一緒でした。Wさんは、ちょっとバツの悪い顔をされましたが、成り行きで一緒にラーメンを食べることになりました。そのご婦人とは明らかに親密な関係に見えましたが、その時は何も言わず別れたのです。その後、ちょいちょいご一緒に食事等するようになって、私に気を許したのでしょうか、色んな話をされました。あのときの女性も俺のコレだと、小指を示して誇らしげにおっしゃっていました。それから、宗教の世界は何でも有りだ。とおっしゃって、N講内の女性信者は(やり放題)だともおっしゃっていました。それから数ヶ月たった或る日、(是非相談に乗って欲しい)というので聞いてみると、どうしても1千万円位必要だから協力して欲しいと言われたのです。それが、あの請求書と領収書です。Mさんの調査を規模の大きなものにして水増ししたのですが、私としては、これまで色んな調査を依頼してくださるところの責任者ですから断れませんでした。こんなことを申し上げると変ですが、当時はバブルの真っ最中で、私の感覚もずれていたのかもしれません。そのお金がどうなったのか知りませんが、もし、N講さんがWさんに託したとしたら本当に申し訳ないことをいたしました。
裁判長「今貴方はWさんに対しどのように考えていますか」
犬鳴 (あんなことまで協力した私に、今さらこんなことを言う資格はありませんが、Wさんは本当に卑劣な人だと思います。あの時、お金の使い道について、付き合っている人妻が妊娠して、その始末に必要だとかおっしゃっていましたが、N講さんから騙し取る行為もさることながら、挙句、協力者の私をこのような場所に引きずり出し、決して許せません。まあ、我が国は法治国家ですから法律違反はできませんが、何時か何処かで私の顔を思い出させてやろうとは思っています。
神聖な法廷で言うような言葉ではなかったかもしれないが、こんな裁判を仕掛けてくるS会青年部の連中にも腹が立ったし、証人質問の中で、弁護団が言う僕の間違った逮捕歴にも無性に腹が立った。平成1年の秋、僕が、北区内の民家に盗聴器を仕掛けようとして、電信柱によじ登っている所を見つかって、滝野川警察に逮捕された。などと架空の話まででっち上げて、(だからお前が盗聴したに違いない)と攻め立ててきた。(先生は何処でそんなまやかしの情報を得られたのでしょうか。もう少し精査されておっしゃって下さい)僕がそう反論すると質問をした弁護士は顔を真っ赤にしてふるえながら着席した。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー