探偵日記

探偵日記 5月21日木曜日 晴れ

未明に、激しい春雷で目が覚めた。低空から鳴り響く音は、今にでも我が家に落ちてきそうな勢いで、加えて猛烈な雨。まさにメイストーム(春の嵐)である。まず最初に心配したのがタイちゃんの散歩のこと。そんなことを考えているうち、携帯のアラームが5時を告げた。のそのそと起きだし着替えをして外へ。案の上、玄関を出たところで固まったタイちゃん。横抱きにして傘をさし一目散に高架下へ。雨がかからない所で下ろすと元気一杯に走り出す。それでも状況はしっかり判断できているようで、さっさとすることをすませて、30分の短い楽しみを終えて帰宅。実は、高架下に入ったあたりであんなに激しく降っていた雨は嘘のように止んで、見上げる空は所々に青くなっていた。

10日以上前から僕は怒っている。理由は三井不動産住宅リース株式会社に対してである。金曜日、同社の代表取締役宛に「配達証明郵便」を出したがまだ返事は無い。恐らく、法務部で検討しているのだろう。手紙に(そんな商売をしていると三井の名が廃りますよ)とも書いた。
3年前、社宅用にワンルームを借りた。部屋を使用する者は一人の女性。場所は四谷三丁目。会社名義で契約をしようとしたが(個人名にしてくれ)と言われ、社員の名前で契約をした。家賃は月額135000円。礼金や手数料と共に「敷金}を265000円入れた。3年目の3月末日その部屋を明け渡したのだが、三井は最初から敷金を返すつもりが無かったようで、こんなことを言ってきた。「部屋のクリーニングに320000円余かかる。ついては、貸主が100000円余を負担するので、借主の方で216000円支払えと言う。フローリングされたワンルームの1室の掃除代が合計その位かかるというのである。えっえっえっえっ~と思った僕はすぐに友人の不動産仲介業者とクリーニングを営む知人、それと都庁の担当者に聞いた。すると、都庁のお役人以外は(それは馬鹿げた金額だ)という回答。都庁も、(小額裁判でも起こして返してもらいなさい)との指導だった。
勿論、明渡しの際立ち会った調査員が部屋の総てを写真に撮ってきてある。彼も言っていたが、見た限りで何処も汚れてなんかいやしない。友人は言う。入居して自然に汚れたものは貸主の負担だ。と、三井の担当者は明け渡しに立ち会った者に、上から目線で「まあ、敷金をオーバーすることはないでしょう」と。はなっからまともに返す気なんか無かったのである。--------------