探偵日記 5月20日水曜日 晴れ
今朝は目覚ましがなる前に起きた。隣室の気配を窺うと、彼はもう起きて今か今かと待ち受けている様子が窺えた。昨夜は深酒をしなかったので、比較的すっきりと起き上がれた。トイレに行き、冷たい水を一杯飲んで外に出る。タイちゃんの歩き方がおかしい。と思っていたらゲーと何かを吐いた。そのあともノロノロとした歩行で、こりゃ今日の散歩は早く終わるかな。とほくそ笑んでいたら何と1時間以上彷徨われた。
M女のおかげで、朝起きるとすぐにメールを確認する習慣がついてしまった。中条きよしの歌の文句ではないが、(貴方残した悪い癖)である。歌では(鍵を掛けずに眠る癖)だが、僕の場合、健康を害するぐらいのメール攻勢の後遺症か。ただ、今はそのメールを待っている。もう1ヶ月以上前、「誓約書」という書類を作ってMの代理人に渡してもらった。内容は、Mが過去数年間性風俗の店で働いていたことやこれまでの経緯を認めさせたうえで、もう二度と僕の関係者に金品の要求をしない。と約束させるものである。Mは、この書類に署名捺印すればOLの年収の数倍のお金が手に入る。なのに連絡をよこさない。何故だろう?Mは、最後のメールで(まだ住む所が見つからず橋の下で寝ている)趣旨のことを言っている。あれほどしたたかな(元、売春婦)でも「探偵」のしたたかさに思いが及ばないのだろうか。こっちはとっくに住居を確認してるのにだ。僕は今まで色んな嘘つきを見てきたが、Mのように、嘘で固めた人間は初めてである。