人の不幸は蜜の味?

僕は、昭和43年からコナンをやっている。よく人は、「他人の不幸は蜜の味」って言うけど、今まで僕は一度たりともそう思ったことは無い。探偵事務所を訪れる人達は、例外なく、その時は不幸を抱えている。稀に、経営する会社の販売促進のため。とか、飛躍のためライバル会社の有能な幹部をヘットハンティングする。ための調査もあるが・・・

例えば、僕の事務所に、ある主婦が、「夫の素行調査をお願いしたいんですが」と言って来たとする。テーブルに座って応接した瞬間、その依頼人が病んでいる様子が見て取れる。それからの数時間、僕は彼女の訴えを延々と聞くことになるのだが、聞き終わった僕はこの依頼人の兄に、その人が僕より年上ならば弟に、最近は、例外なく「父」になる。いわば肉親になる訳で、間違っても「蜜の味」であるはずがない。詳しくは追々書くが、僕はこれまで四人の女性に死なれている。勿論僕が手を下したわけではない。夫に、或いは恋人に裏切られた挙句人生に絶望してのことだ。もしかしたら、僕の対応が間違っていたのかな。とか、調査が不十分だったのかな。と、自分を責めてみる。未だに正解が見つからない。