探偵日記

探偵日記 9月3日木曜日 曇り

今日は、小社の報告書にいちゃもんをつけてきた弁護士に対し「陳述書」を作成する。最近は何でもありで、愚にもつかない反論を堂々とする奴が多い。女のマンションの正面玄関から入り、翌朝(といってもお昼近く)入った時と同じ服装で出てきた不倫男を、(実は、昨夜のうちに出てきて朝早く際訪問した)のだと。不倫男はマンションの裏口から出てきた。だから、マンションから出てくる写真が無いじゃあないか。調査は杜撰で証拠能力は無いと主張する。本当に馬っ鹿じゃあないの。と思う。しかも、たった1日ならともかく、5回も6回も同じ状況を露呈しているのにだ。その上、最後は、相手女性が(私異性を受け付けない体で、セックスができない)という陳述書を出して、(不法行為はありません)ときた。嗚呼。

れんげ 40

 その夜、ひかるは、れんげを連れて夜の街に出た。明日の朝もう一度散歩をするだろうけど、きっと慌しいものになるだろう。今夜はゆっくりれんげと歩こう。何時もの道を喜んで歩くれんげを見て、また一匹幸せにすることが出来た。という達成感とともに、いいようのない淋しさがひかるの心を覆う。山本さんちに行ったら私のことなんかすっかり忘れてしまうんじゃあないのかな。「ねえ、れんげ。ママのこと忘れちゃあダメだよ。」声に出していった途端、ひかるは堪えきれずに嗚咽した。
少し歩いてはひかるを振り返り、また少し歩くと立ち止まって後ろを見て、ひかるのことを確認するように。そんなれんげの目は(今まで、本当にありがとう)と言っているように、ひかるは思った。

善福寺川岸の桜もそろそろ咲き始める頃。ーーーーーーーーーーーーーーーーー