探偵日記 9月2日水曜日 雨
今日は事務の高ちゃんがお休みの日。少し早めに家を出る。事務所に着くと誰も居ない。調査員はもう現場に行っているのだろう。静かで、ゆっくり原稿がかける。31日月曜日、通っている講座で、生徒6人分のプロットが配布された。勿論僕もその中の一人。まだ出していない人も数人居た。他の人が書いたものをざっと読んでみる。教室に通うだけあって、それぞれ、まあまあの出来栄えのように思えた。その中に一つ、プロットの段階で充分読ませるものがあった。確かに、教室で講師にする質問も様になっており、まだ40歳そこそこの若い人だけど相当キャリアのある人だろう。僕は今度、ブログにも連載しているように、野良犬の親子が幸せになって行く様子を物語にしようと思っているのだが、経験値が少なく大変難しい。いっそのこと、得意分野の探偵物に変更しようかなって考えたりする。
れんげ 39
明日、れんげが鷲宮家から調布市にある山本家にお嫁入りするという夜、れんげのためにささやかな晩餐が催された。といってもひかるや子供達は何時もと変わらぬ夕飯で、れんげにだけ特別に大好物のとりのささみをボイルして食べさせた。何も知らず、れんげは大喜びでささみに飛びつき至福のひとときを過ごしている。幸もいないうえに、れんげもいなくなったら鷲宮家は灯が消えたようになるのだろうか。子供たちも心なしか淋しそうにしている。そんな空気をはらうように、友紀が言う。「ねえ、お母さん今度はどんな子が来るのかな。」息子も友紀の言葉に呼応し、「そうだなあ、こんどはオスがいいかな」などと言っている。ーーーーーーーーーー