探偵日記 01月17日水曜日 曇りのち雨とか
昨日珍しく事務所のOBが顔を出した。Kは昭和62年、事務所がまだ西新宿のダイカンプラザにあるとき面接にやってきた。なかなかイケメンで性格も良さそうなので即決したが、埼玉県のほうの会社に在職中で、「しっかりけりをつけてから入社したい」といって、働き始めるまで少し時間がかかった。したがって、実際に入社したのは、事務所が2丁目に移ってからで、事務所の広さが7倍になって、調査員も20名に増えていたのでたいそう驚いていたことを思い出す。
平成3年、まだバブルがはじける前、Kが僕の所に来て「興信所に移りたい」と言う。確かに、探偵事務所では尾行張込などに明け暮れる。もっと幅広く調査を覚えたい。というのがKの希望だった。僕自身、調査員らを見てそう思っていたのですぐ賛成した。僕が独立する前にちょっとだけ僅めたことのある、日本商工リサーチと言う興信所の社長に言うと「よし引き受けた」と即決で迎えてもらった。社長も(探偵部門)を作りたかったようで渡りに船だったのかもしれない。Kは数年間そこで内偵の基礎を学び、次に移った会社で頭角を現し、10年以上前から代表取締役となった。この間、結婚もして二人の子供にも恵まれ、当然のようにマイホームも手に入れた。合わせて数百人の調査員が辞めて逝ったが、まあまあと言える数人の一人である。