8月27日月曜日、時間の経つのは早い。1ヶ月以上前、さあ、夏休みだ。と喜んでいた子供たちもあと数日で終わり、今頃は、頭を抱えて宿題をこなしているに違いない。僕の頃もそうだった。毎日、いや2日置きにでもノートを開いていればそんな苦労をしなくてもいいのだが、ついつい遊びを優先して毎年後悔したものだ。僕など、大人になっても変わらない。早く片付けなければならない仕事があっても(まあ、明日やればいいか)と、都合の良いほうに考え1日伸ばしにしてしまう。その結果、翌日よんどころない用事が出来て、どんどん遅れてしまう。
と、いう訳で、今日は9時に事務所に出た。通常の日より2時間以上早い出勤である。案の定誰も出てきていない。外線からの電話も鳴らない静かな事務所で、2日ぶりのブログ更新。
新婚旅行 3
マルヒの入った喫茶店は2階までが普通の喫茶ルームで、3階と4階が当時流行りの(同伴喫茶)になっていて、アベックしか入れない。僕と同僚のKさんは、10分ぐらい間を置き喫茶ルームに入ってみた。というより、3階以上が単身では入れないスペースということを知らなかった。(居ないよ)とKさん。僕も驚き、はてな、裏口があったかな?と思ったが、勿論裏口等無い。3階に上がろうとしたら、店員が飛んできて、(すみませんこれ以上はご同伴の方だけご利用いただいてます)と言う。
仕方なく僕とKさんは外出で待つことにしたが、それでは能が無い。(どうする)年上のKさんが僕のアドヴァイスを求める。(じゃあ僕がスカートをはくか)などと冗談を言ってみたが、探偵の血が騒ぐ。マルヒと上司らしき男が上の階で何をしているのか知りたい。ちょうど付近のOL達が退社して駅に向かっている時間帯である。
意を決した僕は、前方から一人で歩いてくる女性の前に立ちはだかり、(ちょっと失礼します。僕はこういうものですが、)と言って事情を話し、(一緒にお茶を飲んでくれませんか?勿論ご負担はかけません)だめもとで誘ってみたら(いいわよ)と快諾してくれた。暇だったのか、それとも僕が魅力的だったのか。前者なのは分かりきったことだが暫し至福を感じた。Kさんはというと、羨望のまなざしで僕を見ている。否、探偵としての僕の能力を認めたようだ。
にわか恋人と3階に上がって驚いた。席を仕切る背もたれが異様に高く客の姿が全く見えない。店員が(お好きな席にどうぞ)と言って、お水を取りに離れた隙に、全体を素早く観察した。マルヒは奥まった席に居た。僕は、斜め後方の席に陣取り二人を監視する。さらに、時々トイレに行くふりをしてマルヒらの様子を見る。ガールフレンド?も興味津々で、僕の行動を観察している。(探偵さんって面白そうですね)などと聞いてくる。暫くして、ガールフレンドの女性がトイレに行きたいというので、ついでに良く見てきて。と僕が言うまでも無く彼女もそのつもりなのはわかった。
トイレから帰ってきた彼女の顔が少し紅潮している。僕が意地悪く(どうだった?)と聞くと、(凄いですね)と応える。マルヒと上司らしき男性は、ゆうに3時間その同伴喫茶で過ごしたが、この日ホテルに行くことはなかった。----------