探偵日記

探偵日記 06月19日火曜日 晴れ

昨日18日は僕の誕生日だった。満74歳、あと1年で後期高齢者の仲間入りをする。歌の文句じゃないが(親にはぐれた小雀が)良く育ったものだと思う。戦後の昭和20年、やっと1歳の誕生日を迎えた頃両親が離婚した。6歳の兄、4歳の姉、そして僕。親族会議の席上、父も母も、まだおむつの取れない僕をながめ「この子は要らない」と言ったという。随分酷いじゃあないか。と思う方もいらっしゃるかもしれないが、僕は当然だと思う。朝鮮から命からがら引き上げて来て、家も無い(実は小さいながらもあったのだが)仕事も無い。そんな環境で乳飲み子を抱えればどうなるか。まあ、母にしてみれば未亡人で多少財力のある母(僕にとっては祖母)と、まだ結婚もせず、否、一生しないだろうと思われた姉が同席していたので、二人が引き取ってくれるだろうという読みもあったのだと思う。そして、実際にそうなった。
最近、若い親たちの子殺しが良くニュースになる。テレビや新聞で見ると本当にかわいい子たちだ。「なぜ?」その都度僕は思う。世の中には子宝に恵まれず淋しくしている夫婦もいるし、それが原因で離婚するカップルだっているだろう。それなのに・・・昨日こんな光景に遭遇した。日中の町中。一匹のカラスがス雀の雛を口に咥えており、その周りを多分母親であろう雀が狂ったように、何とか取り返そうと飛び回っていた。カラスが大きく旋回して他の家の屋根に移ろうとすると、親雀も必死になって追いかけるがカラスの方が体も数十倍大きく飛翔力も高い。
暫く見ていたが、どうしてやることもできず、嫌な場面に接したせいか、心身ともに疲れて午後早く帰宅した。