探偵日記 02月12日水曜日 晴
今日は暖かい一日だった。午前中地元で、午後、他で人と会い、まあ、仕事に関係ある面談をすませて雀荘へ。少しは仕事をしないと罪の意識に苛まれる。
少し勝って地元に。今夜はきりたんぽの店で食べて帰宅。残り少ない1日が終わる(笑)
新宿・犬鳴探偵事務所 2-12
犬鳴は瞬間彼の言うことが理解できなかったが、すぐに、昨夜のことを思い出し愕然とした。そして、犬鳴がその話をしたとき、秘書と目を合わせて意味ありげな表情をしたことを思い出した。
彼は、柳原夫人の(特別な依頼)のことを言っているのだ。しかし、犬鳴は少し驚き別な思いになった。というのも、かれは、理事会の時やその後の飲み会など必ずと言っていいほど仕切ったし、わざとらしく膨らんだ財布をこれ見よがしに周囲にひけらかしていた。なるほどな。と思う。業界では周知のことだが、彼は関西の某組織の幹部だったらしい。前科11犯といううわさも聞く。
しかし、犬鳴は彼のことを好ましく思っていた。なにより、風貌が男っぽいというか味があった。或る時「犬鳴さん僕はガンなんです」と打ち明けられたことがある。仕事に関しても情熱が感じられたし、勿論、キャリアも犬鳴より勝っている。そして何より、彼が常々自慢しているように、犬鳴は、彼の事務所がたいそう潤っていると思っていたからだ。
当時、設立してまもない協会に、主管から「社団法人の許可を与えてあげるから基本財源を確保しなさい」というお達しがあった。理事会で議論して、主管の要望に沿うべき5000万円を集めることになった。理事たちは一津30万円、会員は自主的に可能な金額を寄付するように決めたが、その際、彼が言った「もしみなさんが承知してくれるなら私のほうで全額用立ててもいいですよ」と。・・・・・