探偵日記

探偵日記 02月11日火曜日 晴

今日は建国記念日、13年前に亡くなった姉の誕生日。この日に生まれたから名前も「紀代」(今は建国記念日だが昔は紀元節といった)
最近色々面白くない。特に、人間関係が煩わしい。僕は比較的社交的で誰とでもそこそこに上手く付き合えるほうだと思うが、相手の嫌な面が目に付くし気に障る。これって、老人性の「鬱」かなと思ったりする。平和に生きて行こうと思ったら、人との付き合いをやめればいいのだが、現役である以上そうもいかない。なんとかしなくては。とつくづく思う。

新宿・犬鳴探偵事務所 2-11

弁護士同様、当然ながら探偵にも主義務はある。しかし、両者とも普通の人間であれば、ちょっとおもしろい案件に遭遇すれば誰かに話したくなるのが人情であろう。実際、この日も、同業者に対しつい口が滑ってしまった。ただ、いかなる場合でも固有名詞や、場面は装飾する。聞いた人が(ああ、あの人のことか)と察知されるようなことは決してない。例えば、奥さんから依頼されて夫の素行調査をした結果、なんと相手は女性ではなく男だった。なんていう時など稀に経験する稀有なもので、形を変えて話す。間違っても、(富士銀行の頭取がさ~)なんてことは言わない。
翌日、所用を終えてお昼前に出社。月曜日に訪問する依頼人の報告書を作成。ただ、注文通りに調査を行ったものの、依頼人が期待(いいかえると、予想した)ような結果ではなかったので、少々気が重かった。調査をしていると稀にこういうことがある。依頼するほうは(対象者は必ずこんなことをしているはずだ)と、思い込んで頼んでくる。しかし、ミスなく調査しても対象者が、当初依頼人が危惧したような鼓動をとらない場合がある。これは致し方のないことで、調査会社が責められるものではない。ただ、心優しい犬鳴は費用対効果の観点から(無駄金を使わせて悪かったなあ)と考えてしまうのだ。
そんな時、事務の高子が「所長、○○さんからお電話です」と言う。池辺を連れて歌舞伎町に繰り出した晩、途中立ち寄ったエスカイヤクラブで偶然会った同業者からった。(なんだろう)と思って出ると、「ワンちゃん昨夜は珍しいところで会ったね~」などと世間話をした後、ちょっと声をひそめて「あの話だけど俺にやらせてくれないかな」と言う。・・・・・・