探偵日記

探偵日記 03月23日土曜日 曇り

今日も早く家を出た。僕自身予定があること、家も電話の工事があるとかで、9時過ぎに業者が入り作業を始めていた。特に何がどうというわけではないが体の調子がいまいちで元気が出ない。最大の理由は仕事が順調に進まないこと。次に、プライベートも思ったようにならないことだろうか。昨夜は、その仕事の件で週刊誌の記者と打ち合わせをしながらご飯を食べた。毎度愚痴るようだけど、あの悪法「個人情報保護法」というやつが出来てから「人」の調査がやりにくくなった。僕が何時も若い調査員らに言うことだが、僕がまだ駆け出しの頃、某ビルのオーナのもとに聞き込みに行った。案件はそのビルに入居している会社に関する調査だった。訪問する前に区役所の出張所で社長の住民票を取った。当時30円だったか40円だったか覚えていないが、誰でも第三者の住民票や戸籍謄本を入手できた。なぜその人物を調べていたのか詳しいことはもう忘れたが、僕は取った住民票を手にしてビルのオーナーに聞き込みを始めた。すると、そのオーナーが「あなたの持っているそれって何ですか」と言聞くので(住民票ですよ)と言うと、「ちょっとお待ちください」と言って奥に入っていった。待っていると、出てきたオーナー曰く「あの~それ譲っていただけませんか」と言う。僕はすでに必要なことは手帳に移し替えていたし、まあ、このオーナーに差し上げてもかまわなかった。(いいですよ)と応じると、今度は値段の交渉である。僕してみればつい1時間ほど前に数十円で入手したものである。正直、いくらでも良かった。まあ、腹の中では1000円か2000円くれれば美味しいランチが食べれる。ぐらいに考えていた。しかし、「少々お待ちいただけますか」と言って奥に引っ込んだオーナーが、大変失礼とは存じますがこれで。と言ってくれた封筒には100000円はいっていた。駅に向かう途中で中身を見て腰を抜かさんばかりに驚いた。と、同時に、(探偵稼業はいいもんだ)拙著に、僕は探偵を天職と書いたが、まったく不純な理由で、単純極まりないものである。