探偵日記 6月29日月曜日 晴れ
あと1日で6月も終わり、今年も後半に入る。事務所も僕個人も良かったり悪かったり、何となく平坦に時が過ぎてゆく。来月は11日に、郷里の山口県下関で中学時代の同窓会が催され、勿論、僕も出席する。小学校から中学に進んだ100人も、2割近い者が事故や病気で亡くなった。今回は20人足らずが集まるというが、今から楽しみである。郷里を離れて暮らすものの中で僕が一番遠くに居る。それでも事あるごとに必ず帰郷して懐かしい顔と再会し童心に戻る。そんなこともあと何年出来るか分らないが、元気な間は欠かさないつもりでいる。7月は今のところゴルフが4回予定に入っている。良く遊び、また良く遊ぶ。
れんげ 2
シロは純血の秋田犬で大柄だった。遊びに来る同級生は怖がったが、いち早く楓の友達であることを察し、媚びないまでも決して吠えたりしない利口な犬であった。東京の大学に入学して、卒業後、夫と同じ厚労省に勤め、初めてのデイトの待ち合わせに、渋谷を選び、ハチ公前で待ったが、ハチ公の銅像を見て、郷里のシロのことを思い出したものである。その夫から、ハチ公の由来を聞かされ嬉しく思ったことを昨日のように覚えている。楓の幼少時にはもう無くなっていたが、祖母から、戦後は、盛んに野犬狩りが行われ、大館のような長閑な町でも、そのことを生業とする人たちが居て、輪っぱ状にした針金を持って犬の首めがけて投げては捕獲していたようだった。その後、俗に言う(犬殺し)と呼ばれる人こそ居なくなってはいたが、散歩の時以外は決して外に放したりしなかった。