探偵日記 6月30日火曜日 晴れ
今朝、5時に起きて散歩を済ませた後、ジムに行き、マシンを30分、プールを30分やり、シャワールームでその他のことを終え帰宅。8時、朝ご飯を食べた後、1時間ぐらい寝ようかな。と、思ったが、体はすっかり目覚め眠れないので早々に支度をして事務所へ。9時半、誰も居ない事務所に出勤する。6月に入り、何となく活気が出たようで、今日と明日新しい仕事の打ち合わせの予定。都内の2件の調査が一旦終わり、今日から埼玉の尾行調査を再開している。というわけで、僕も報告書の作成やらで忙しい。探偵の商品は「報告書」で、それに伴う請求書も大事な部分である。誰だって、美味しくないお菓子に大枚は払わない。
れんげ 3
そんなわけで、楓は、今の家に越してきた翌日から家族にする犬をさがしあるいた。しかし、見ず知らずの他人に乞う事も出来ず、生憎、駅周辺にはぺットショップも見つからず、今日まで淋しい日々を過ごしていた。余ほど郷里の大館から貰ってこようとも思ったが、連れてくるのもひと仕事だ。と言う夫の意見も、そうだな。と、納得してもう三ヶ月になる。
可愛い犬と一緒なら少しぐらいの不便は我慢できる。ここの環境は楓が思い描く、まだ見ぬ犬との生活にはうってつけだった。周囲は低くなだらかな山に囲まれ、近年開発されたと思われる住宅団地の周囲には、まだ広域な田園が見渡せた。人間も犬も思いっきり遊べるだろう。楓は度々、リードを手にして犬に引かれて歩く自分を夢に見た。同じように犬好きの夫も同僚らに聞いているようで、ペットのコジマに行くと色んな犬種の犬が居て、十万ちょっとで購入できるとか、いや、ショップで購入できる犬は病気になりやすいとか、休日、家で食事をする時の会話のほとんどがそんな話に終始した。