探偵日記 04月22日月曜日 晴
今朝は5時半に目が覚めた。というより良く寝れなかったと言ったほうが正しい。7時過ぎ、昨夜我が家に泊まった娘と見張り番の三人で駅に行き、構内にある喫茶店で、時間をかけて軽食を食べ、死に来た病院(正式名は河北総合病院)へ。実は昨日、愚妻が転んで大けがをして一夜明けた今日入院のため訪れた次第である。他人ごとではない。僕も一昨年の夏、阿佐ヶ谷駅のエレベーターで、上から下まで転げ落ちた経験がある。僕はなんでもなかった(打ち身やかすり傷はあったが)彼女は両方の手首を複雑骨折した。茨城県の病院で応急処置をしてもらい、手術は地元の阿佐ヶ谷でやってもらうことにした。ドクター曰く、「入院は3日でいいが、糖尿などの数値が高ければ延期になる」由。
僕はどうしても外せない予定があったので事務所へ。タイちゃんの老々介護が終わったら今度は家政婦にならなきゃあならないかも。トホホ
詐欺師K 7
Kはそれからも木曜日か金曜日になると金策に忙しい。草競馬で勝ってればいいのだが、たいがいオケラになる。運良く勝っても散財するから土日の資金を作るためまたサギる。ただ、若い僕が見てもやることが小さい。せいぜい寸借か月賦屋を騙すぐらいで、何かこう胸のすくような発想は無いようだった。そうして、やがて年末となり御用納めの日、Kに招かれデスクに行ったら、「ふくちゃん5日に僕の家に来い」と言う。わけを聞くと、「おふくろがいるから芝居してくれ」と言う。5日のお昼頃年始の挨拶に僕が行き、部下(僕は、Kが立ち上げた会社の社員という設定)が仕事のことでどうしても自分に出てくれっていうから、おふくろ悪いけど出かけるよ。と言って家を出たいらしい。当日、打ち合わせ通り僕がKの家(2Kのアパートだが)に行くと、何度目かの奥さん、生まれたばかりの赤ちゃんとお母さんが居て歓待してくれた。僕がKのことを社長社長というものだから大喜びしている。頃合いを見計らってKが、「うん、じゃあ福田君そろそろ行こうか」と言って立ち上がると、お母さんが(Tちゃん)と言って素早く何かをKに渡した。上機嫌のKは表に出るとタクシーをとめ(府中)と告げる。車中、母親に会社を立ち上げたこと、僕が社員の一人であること、近々大きな商談がまとまりそうなこと、など、口から出まかせを言って妻や母親を喜ばせていたらしい。「おふくろは暮れにボーナスをもらって持ってるんだよ」と僕に言いながら1万円くれた。その日府中競馬では金杯というレースが開催される競馬フアンにとっての元旦だった。・・・・・