探偵日記

探偵日記 01月11日土曜日 曇り

昨日は久しぶりに午前様になった。今年初めてのクラブ活動、ご依頼人と事務所の関係者の3人で、歌舞伎町で食事をした後、顔は知っているがまだ行ったことのない子の店で。
それと、その前に馴染みの雀荘で1時間少々、半荘5回打ったが、座ってすぐに役満(す-あんこーー同じ牌が3つずつ4組揃うもの)を上がり、当然ながらトップ戦いは数分で終わり、その後も2連勝。その後トップウをひっくり返され2着2回、大勝して待ち合わせの場所に赴いた。昔、プロ雀士の「小島武夫」さんがサイン色紙に書いてくれた(福田さん、麻雀は負けたり勝ったり)というが、昨日は勝った日となった。

新宿・犬鳴探偵事務所 11

東京オリンピックを弾みにして日本は高度成長期に入った。池田隼人総理が「貧乏人は麦を食え」と、問題発言をし、マスコミは差別的な発言だと庶民を煽ったが池田の言った言葉の真意は別のところにあって、貧乏イコール麦ごはんではなく、その後、国民は健康に良いとされる麦を好んで食べた時期があった。(安いうえに体にも良い麦ごはんを食べて頑張ってください)というほどの意味だと犬鳴は勝手に解釈した。次に、今太閤ともてはやされた田中角栄が総理となって打ち出した(列島改造論)によって、建設業、不動産、鉄鋼、資材関連など軒並みに好調となり、相乗効果で株式も高騰、昭和50年代の半ばから異常な経済状況となって、後にこの10年余りを(バブル景気)と人は呼んだ。
犬鳴と依頼人の婦人が入った歌舞伎町の(あみもと)という店は、新宿駅から靖国通りを越え歌舞伎町のメイン(さくら通り)を2分ほど進んだ突き当りにある。小料理屋といっても大小の宴会を数多くこなせる大店で、当時歌舞伎町で夜の帝王と言われるぐらい(まあ、そんなこともないが)飲み歩いていた犬鳴は勿論よく知っていたが、この日は井口夫人が主役で、実際にかなりの馴染みのようであった。店に入ると数人の仲居が彼女にあいさつし、奥まった場所にある小部屋に通された。
夫人は料理をてきぱきと注文し、ビールをつぎ「ワンちゃん乾杯」と言って、機嫌よく飲み始めた。
暫く他愛のない話を続けていた井口夫人が、少し改まった感じでこんなことを言った。「ねえ、ワンちゃん私のことをどう思ってる。ううん、女としてってことじゃあないわよ。今私が依頼している仕事のことだけど、ワンちゃん前に言ったわよね。もう調査はやめましょうって、でも私は続けて貰っている。そのことだけど。」そのあと、夫人は何故か探るようにじッと犬鳴を見つめた。・・・・