探偵日記

探偵日記 01月12日 日曜日 曇り

今日は、13時と18時に依頼人と会う予定。お二人とも何度かお会いしているので、気楽といえばそうだが、いずれも悩みを抱えている人なので軽い気持ちで会うわけではない。
正月も10日を過ぎてようやく仕事モードになった。
1昨日は姉の命日。真面目で頭のいいひとだったが癌で早逝した。15日、その姉のお墓がある浅草に行く用事があるのでお参りをするつもり。

新宿・犬鳴探偵事務所 12

僕は少し考えてわざと軽く言ったい言った。(どうって、うちのような貧乏探偵事務所にとって、奥さんみたいな人は神様です。感謝してます)後で思うと、馬鹿な返答だったかな。と反省したが、口の上手い犬鳴だがとっさの対応は下手だと思う。しかし、依頼人は特に気分を害した様子もなく、「そうよね、すっかり事情は分かっているのにどうしてかしら、私っておかしいのかな~」夫人はそう言って少し笑って「まあ、ワンちゃんのことを気に入った。ということもあるのよ」と言う。
さらに、「ねえワンちゃん私のことずっと面倒見てね。」とも言った。犬鳴は、(勿論僕で良ければ死ぬまでお付き合いしますよ)と応じたが、正直なところ依頼人の気持ちを測りかねていた。すると、「こんなこと言うと失礼かもしれないけど、ワンちゃんの事務所って狭すぎるんじゃあない」夫人は酔った勢いという感じでそんな事を言った。犬鳴は、井口夫人に限らず依頼人にはそれとなく、(おいでいただいた事務所は便利なだけで置いているんですが、調査部は別の場所にある)という空気を作っていた。はっきりどこそこに有りますといえば嘘になるが、相手が勝手に想像するのは勝手である。しかし、井口夫人には通じなかったようだった。そして、「ねえ、これも余計なことだけど、私がお金を出すから広いところに移っちゃいなよ」と言う。・・・・・