探偵日記

探偵日記 01月13日月曜日(成人の日)晴

今日は成人の日。天気の良い祝日になって結構なことだと思う。僕の周りにも何人か(孫が成人になった)ジジババが居て何かと大変な様子。我が家はもうちょっと先のことになる。
今日は3連休の最後、昨日に続いてゴルフの練習に行く予定。明日から、もう正月気分もなくしどん欲に仕事をしなければならない。幸いいくつかの予定もあって退屈しないで済みそうである。

新宿・犬鳴探偵事務所 13

冗談ともつかない井口夫人の言葉を聞き、犬鳴は思案した。といっても、返事を渋ったり疑わしい素振りは勿論しない。鸚鵡返しに(ありがとうございます)とは言ったが、その後をせっついたりせず平常心装って待った。赤の他人の女性が犬鳴のような風来坊の探偵に、そんなことを言ってくれるなんてにわかには信じられない。しかし、例え酒の席の戯れごとおだったとしても嬉しかったし、彼女のやさしさは身に沁みた。だからといって、犬鳴のほうから具体的なことを問うのもはばかられ、その話にすぐ飛びつくほど卑しくもなかった。犬鳴はつとめて泰然とした風を装い静かに夫人を見つめた。夫人はまだ飲み始めて間もないし、たいそう酔っているわけでもない。ましてや犬鳴をからかっているのでもなくにこにこ笑って座っている。
しかし、と、犬鳴は考えた。確かに目の前に座っているごく極普通のおばさんはかなりの資産家である。夫はいるが家系を握っているのは紛れもなく夫人だ。しかもかなり自由に使える。僅か数か月のお付き合いだが、夫人の言うように好意を持たれているのもその通りであろう。だけど、今の犬鳴探偵事務所を拡張するのにどのくらいの資金がかかるのか分かっているのだろうか。また、実際にお金を出してもらったら事務所のことにあれこれ註文を付けられるかもしれない。
犬鳴は、その間、雑談で座を取り繕い、次に言った夫人の「ワンちゃん私は本当に心配してるのよ事務所の狭さを、それから、断っておくけど僅かなお金であんたを縛るつもろはないわよ」と言う言葉で(よし、乗ってみよう)と決心した。・・・・・