探偵日記


2020・11・30月曜日 晴




冬らしい天気で、外を歩くのは気持ちいい。今日で11月も終わり慌ただしい師走となる。コロナのニュースに明け暮れる1年となったが、来年も再来年も続くだろう。そんな環境の中で「探偵」の世界はどう変わるのだろうか?そして、我がTDAの12月は・・・




不倫 10




「妻を調べてください」50歳ぐらいの男性が我が貧乏事務所を訪れたのはちょうど今頃、街を歩けばあちこちからジングルベルが聞こえてくるまさに師走だった。結婚しておよそ20年経つという。上場企業の営業部長という職に似合わないシャイで訥弁の人だった。どういうふうに変なんですか?と聞くと「夫婦生活を拒み続け、自分の部屋に鍵をかけ夫である自分の入室を許さない」のだと言う。さらに「女房はメチャクチャ美人です」とか「根っからセックスが嫌いのようで、まあ、浮気はしていないと思うのですが」と。それでも、日々どのように生活しているのか知っておきたい。「離婚する気は全くありません」とも言った。僕は、張込尾行調査の方法や費用を説明し受件した。




調査初日、自宅に近い自由が丘に出て買い物をすませ喫茶店で男性とお茶をした。調査員からの報告(かなり美人です。会っている男ですか、渋いいい男です。なんか雰囲気がありますね)マルヒが素晴らしくいい女であることは分かった。しかし、調査員の言う(雰囲気のある男)ってどういう意味だろう?メールで送られてきた男の写真を見て、僕は(何だかにやけた野郎だな)と思った。その日はお茶しただけで別れたが、その後、男性を尾行した結果、某メガバンクの本店勤務。自宅は世田谷区成城学園の高級住宅地の一角にあり、瀟洒な建物だった。・・・