探偵日記 03月10日土曜日 曇り
用も無いのに事務所に来た。とにかく家でじっとしていられない厄介な性格だ。こんなに動き回れば少しは懐も潤うはずだが、一向に我が暮らし楽にならない。それなのに、昨夜は4軒はしごした。2軒目の店で元銀行員という同年輩の男性二人と意気投合。その銀行はとっくに潰れたがどこかの会社の顧問をやっているようで名刺をくれた。さすがに僕の名刺をひと目見て業種がすぐに分かったようだ。ＫＫティー・ディー・エー普通社名だけでは分かりにくいと思うのだがやはり世慣れている。会話も大いに盛り上がり、彼が「ねえ、あったりまえでしょう」というみち奴の歌を日本語、英語、ドイツ語で唄ってくれた。子会社の社長も務めたというから、まずまずの経歴だろう。勿論座持ちが上手いだけでは出世できない。場末の居酒屋やスナックでも色んな人に出会える。