探偵日記

探偵日記 12月27日金曜日曇り

今年もとうとう御用納めを迎えてしまった。特に悪いこともなかったが、そのかわり、良いこともほとんどない一年だった。来年は6月で満70歳。正真正銘の(古希)を迎える。節目の年でもありもう一度気を引き締めて頑張ってみようと考えている。いつも、年の始めに目標を立てるのだが数日も続かない。意思の弱さは幼少時のまま。思えば、若い頃は一匹狼の探偵を気取り、ある程度事務所の規模も大きくなった中年以降も経営は丼勘定で、(年金)とやらを払ったことがないうえ、懐に入ったお金は総て使い尽くす浪費型の性格で、今まで(貯金)というものも経験がない。幸い、これまでは健康に恵まれたが、もし、病気になどなったら一巻の終わりである。一方の配偶者も僕に輪をかけたチャランポランな人なので、バランスがいいと言えば聞こえは良いが、夫婦で生活保護を受けるというのも何だかピンとこないような気がする。それにひきかえ同窓の連中で、定年まで大企業にに勤めた奴らはおっとりしている。何しろ、2ヶ月に1度、60万円近くお上が振り込んでくるそうだ。1円も払ってないくせに、そんなことだけは猛烈に羨ましがる。自分でもなかなか良い性格だと思う。

僕は中学生ぐらいまで超悪ガキで、最後は(番長)に上りつめた。だから、今でも帰省すると昔僕に殴られたもやし達が挨拶にやって来る。或る年、彼らに向かって宣言した。(なあ、お前達、俺が東京で食い詰めて帰ってきたら見捨てるなよ。お米はお前、味噌醤油はお前)という風に役割を決めてやった。魚や野菜は豊富だから自分でも調達できるだろう。僕の家の周りにも畑は沢山あるから失敬すればいい。魚は後輩の漁師を脅かせばくれるだろう。しかし、と思う。僕より彼らが元気でいる保証はない。あんな空気の良いところに住んでいながら、50人(女性もほぼ同数)いた同級生のうち2割以上が亡くなった。だから、僕が杖をついて帰郷したとき何人残っているかだ。その場合でも、女房に頭の上がらない奴は除外しなければならない。そう考えると前途多難に思えてくる。

結論は、(頑張るしかない)のである。少し遅きに失した感はぬぐえないが、あと150年ぐらいは生きるはずだから何とかなるだろう。

このブログも今日で400回、とにかく子供の頃から飽きっぽい性格だったが書くことは好きだから続いたのだろう。あ、そういえば、昨日、角川書店の編集から電話があり、「一度お目にかかりたい」と言う。僕が(どんなご用件ですか)と聞くと、「先生のブログを拝見していますが、あの、新宿犬鳴探偵事務所を本にしたい。同時に、NHKで連続ドラマの話もあります」とのこと。僕のほうに断る理由は無い。よしこれで老後は安泰だ。と思ったところで目が覚めた。(笑)人生そんなに上手くいくか。--------

今年、僕のブログを読んで下さった皆様、来年こそ、佳い一年になりますように。