探偵日記


2021・03・29 月曜日 晴




昨夜雨の音で目が覚めた。カーテンを引くと窓ガラスに叩きつけるような雨足。明日もこんな調子だと嫌だな~なんて思いながら何時のまにか眠ってしまった。朝起きると快晴。美味しく朝食をいただき、さ~出発ーーといっても行く当てはない。😢




受件の妙味 1




探偵の仕事は1件単位で終わるものが多いが我がTDAはどうかすると相関図が出来るくらい関連性がある。その一つ、バブルがはじけてて間もない某月某日、落ち着いた婦人の声で電話がかかった。事務所の固定電話だったが、その人は「福田さんをお願いします」と言った。事務員から回ってきた電話に出ると、ご婦人は自分の名前とカタカナの社名を告げ、可能ならばなるべく早くおいでいただきたい。と言う。さらに、「弊社の社長がお待ちいたします」との由。ちょっと品のないことを書くが、僕の探偵心が(金脈)の気配を感じた。午後一番でお伺いいたします。と丁寧に応じ丸の内の本社に赴いた。




電話をかけてきた婦人は540歳ぐらい、やがて、やあやあご足労頂きまして。と言いながら現れた社長は50歳を少し過ぎたくらいか、身長もありなかなかハンサムで経済人としての勢いも感じた。間もなく知ったのだが、上場目前だったらしい。依頼の内容はありきたりのものだったが、ここに至る経緯には少し紆余曲折があったのである。さかのぼること昭和の終わるころ、電話帳の広告を見たという若い男性が調査依頼に訪れた。僕の事務所のある新宿から遠く離れた某区の信用金庫に勤務。主に積み立てを募集する営業マンだった。・・・・